続・ご近所ジョジョ物語
ポルナレフ&デーボ編・第6話「探索」

                       


デーボが何かを取り出した。手元でカチャリと音がする。


ポルナレフ:ッ………?!??!?!
  デーボ:久々に…暴れられると言うわけか!クックックククククク…
ポルナレフ:で、デーボ?!
  

死体達が、意識のない顔で雄たけびをあげる!
デーボが、にっと笑った。


ポルナレフ:へ?!ちょっとマジ?!うわ、うわわわわ


ジャキン!


  デーボ:吹っ飛べ


ドガガガガガガガガガガガガガガガガガッガガガガガ!
ガトリングガンの銃弾で木端微塵にされていく死体達!


ポルナレフ:す、スタンド使いのすることじゃねぇ〜!
  デーボ:面倒なことは、簡単にすませたほうがいい!はっはっはっは


連続で響き渡る銃声が終わったとき。
デーボ達の目の前には、動かない敵の姿がテンコ盛りになっていた。


  デーボ:いっちょあがりだ
ポルナレフ:さすが元殺し屋…
  デーボ:久々に使ったからな、ちょっとばかり派手にやりすぎたか?


しんとしたその暗い空間に、霧のジャスティスが浮かぶ。


ポルナレフ:あれが…。
  デーボ:あれが、お袋さんのスタンドだ。


ジャスティスは、じっと空中に浮かんでいる。
困惑しているのか、じわりとそこに浮かんでいたが、やがてふっと姿を消した。


ポルナレフ:今のうちか、鈴さんはどこだ?!
  デーボ:奥へ行くか
ポルナレフ:おう!
J・ガイル:卑怯だ……
  デーボ:J・ガイル!


声に振り向く。
玄関の外に、J・ガイルの姿がある。


J・ガイル:ママの操り人形、なんてことを…
  デーボ:ママ?
ポルナレフ:ママン……
J・ガイル:ママ!
  デーボ:ママでもママンでもいい、鈴さんはどこだ!
J・ガイル:言っただろう、お前が殺しの世界に戻ってくれば生かして返す
  デーボ:戻った所で帰る保証はないだろう?
J・ガイル:戻ってこい!
  デーボ:いやだ!
J・ガイル:お前にはこの世界が似合ってるんだよ!
  デーボ:いやだ。
J・ガイル:戻って来いと言っているんだ、さもなければ!
  デーボ:鈴さん!


サルグツワをされ、後ろ手に縛られた鈴が、J・ガイルに引きずられて出てきた。
どうやら旅館の脇のガレージの中にいたらしい。


J・ガイル:どうするね?
ポルナレフ:卑怯だぞ!
J・ガイル:お前らだって十分卑怯だ、なんで二人いる!
  デーボ:一人で来いと言わなかったからだ!
J・ガイル:う
  デーボ:阿呆が、いつもお前は詰めが甘いんだ。
      いつまでおふくろさんに頼るつもりだ?
J・ガイル:う…うるせェ!


J・ガイルのスタンドが、いないのに気づく。
発動させていないのか…それとも…


ポルナレフ:ぐあ!?
  デーボ:しま…った!


いつのまにかハングドマンが廻りこんで、窓ガラスに移っていたのだ!
ポルナレフが、腕を押さえてうずくまる。
霧が、濃くなる。



  デーボ:……やっちまった…やはり一人で来るべきだったか…
ポルナレフ:へ?あ、う、うわああああ!霧が、こっちに来る!
  デーボ:霧に入りこまれると一環の終わりだぞ、逃げろ。
J・ガイル:ママの操り人形で終わると思っていたのに…面倒かけやがって!
  デーボ:ふん、馬鹿が。だからお前は詰めが甘いと言ってるんだ。
      お袋さんのスタンドが出てくることを俺が予想しなかったと思うのか?
J・ガイル:なんだと…?!
  デーボ:俺は殺し屋デーボ。お前が思うほど安直なスタンド使いじゃない。
J・ガイル:あんたの目、きらきらしてやがる…やはり殺しが好きか!
  デーボ:ああ、好きさ!
      やっているあいだだけでも、自分の惨めさを忘れられるからな!
J・ガイル:…じゃあ戻って来い!
  デーボ:いやだ!
J・ガイル:戻って…こい!…来てくれ!
  デーボ:……J・ガイル…なんでそこまで俺にこだわる?
J・ガイル:あんたじゃなきゃ…俺は、あんた以外…信頼できない…
  デーボ:……お前は、向いてないんじゃないのか…
J・ガイル:なんだと!?
  デーボ:裏の世界なんて、やめちまえ。
J・ガイル:なんてことを!ママの悲願なんだ、俺が裏の世界で…!
  デーボ:テメェは誰のために生きてんだ!!!!
J・ガイル:!
  デーボ:いつだってそうだ。お前はいつでも「ママの悲願」だと…!
      お前の悲願はなんだ!?
J・ガイル:ママの幸せ…だ
  デーボ:エンヤのお袋さん…あんたの悲願は、息子の幸せじゃないのか



ポルナレフを追い掛け回していたスタンドがぴくりと止まる。



ポルナレフ:や、やっと、止まった、ゼェ、ゼェ…
  デーボ:無理なら無理と…。
J・ガイル:言えるか!そんなこと言えるか!
      俺はそうしたら、何も出来ないただの男になっちまう!
  デーボ:出来ないんだろうが!
J・ガイル:うるさい、うるさい!俺は裏の世界で!
  デーボ:感情的になるな。後ろががら空きだぞ。
J・ガイル:!


鈍い音がする。
J・ガイルの身体が倒れる。
一瞬だった。
鈴が、嬉しそうにはねて見せる。


ポルナレフ:た、助かったのか?
  デーボ:走り回ってばっかりだな、お前は…
ポルナレフ:俺がいたからアンタが助かってんだろうが!
  デーボ:そうとも言うな
ポルナレフ:やっと、片付いたか〜
  デーボ:そう思うか?
ポルナレフ:え?
  デーボ:霧が…深くなっちまった…お袋さん、アンタ、わかってるのか…


鈴の縄を解きながら、顔をしかめて、空を見上げる。
どんよりとした雲が、さらにどんよりとした霧で見えなくなる。


  デーボ:お前、傷は
ポルナレフ:あ!
  デーボ:やばいぞ、狙ってる。
ポルナレフ:うううううう、ど、どうすれば!
    鈴:消毒、しましょう!
  デーボ:へ?
ポルナレフ:は?
    鈴:ハイ!手出して!
ポルナレフ:はい!
   

鈴が、車の後ろにあったエンジンオイルを、ポルナレフの腕に吹きかける。


ポルナレフ:あででででで!
  デーボ:鈴さん、これって…
    鈴:J・ガイルさんに聞きました。霧が入って、操るのだと。
  デーボ:聞いたのか、ヤツに。
    鈴:デーボ様も操って、殺し屋に戻らせるのだと言っていました。
      鈴は、そんなのいやです!
ポルナレフ:鈴さん…
  デーボ:そうか、ガソリンか…
    鈴:霧ですもんね!


そう言ってにっこりと笑う鈴に、デーボも笑う。
ひとり首を傾げるポルナレフ。
霧はますます濃くなってくる。
音がする。又、足音だ。


ポルナレフ:ああ!これ見て!見てみて!


傷口を一生懸命に指差すポルナレフ。
見ると、霧が入ろうとして、そこで止まってしまっている。


ポルナレフ:入れないんだ!そうか、そうか!
    鈴:霧は、水ですもんね!
  デーボ:今ごろ気づいたか
ポルナレフ:あとは…
  デーボ:これ以上傷つけられないうちに、ここを出る。 
    鈴:どうしましょう…霧で良く見えませんです
  デーボ:ポルナレフに火でもつけるか
ポルナレフ:じょじょじょじょ、冗談じゃねえ!
  デーボ:いや冗談だ。
ポルナレフ:又あのガトリングで一気にやっちゃえば!
  デーボ:いや…


J・ガイルに当たってしまうから…と言おうとして、口をつぐむ。
恐らくまだ同じ所に倒れているであろうJ・ガイル。
その方向からも、足音は聞こえる。


ポルナレフ:なんでだよ?もう弾切れか?
  デーボ:…まぁ…そんな所だ
ポルナレフ:車で強行突破ってのは?
  デーボ:霧があってこの辺の道は危ない。崖から落ちては元も子もないぜ…?
ポルナレフ:クソ…逃げ道もふさがれたのか…
  デーボ:この程度の霧なら、まだ間に合うか…
ポルナレフ:なんか策があるのか!
  デーボ:霧を晴らせば、鈴さんを連れて降りることは出来るか?ポルナレフ。
ポルナレフ:勿論だ、免許証も持って来てるぜ
    鈴:デーボ様。又何か危険なことを…
  デーボ:いや、そう危険でもない。
      お前達は車に乗りんでいてくれ。霧が晴れたら出発していい。
ポルナレフ:お前は?
  デーボ:J・ガイルのおんぼろ車があったろ。あれで十分だ
ポルナレフ:デーボ
  デーボ:なんだ?
ポルナレフ:死に近くなるほど、アンタは嬉しそうな顔をするんだな
  デーボ:J・ガイルにも…良く言われたよ…
ポルナレフ:殺し屋、あってるのかもしれないな
  デーボ:もう良いんだ…いまさら、言わないでくれ。
ポルナレフ:本当は、何がやりたいんだ?
  デーボ:……何が聞きたい?
ポルナレフ:俺は…やりたいことが見つからない…
  デーボ:今はそんなこと言ってる場合じゃない。後にしろ。
ポルナレフ:J・ガイルも多分、そうなんだ
  デーボ:ポルナレフ!いつまで言っている!?
      今お前がやりたいことが分からないのなら教えてやる!
      今お前ができることは、
      鈴さんをここから安全な場所に連れて行くことだ!
ポルナレフ:わからねぇよ!なんでできることがやりたいことことなんだよ!
    鈴:出来ないことがやれないのではないでしょうか…
ポルナレフ:え?
    鈴:行きましょう、ポルナレフさん
ポルナレフ:……
    鈴:行きましょう…デーボ様を置いて…


鈴は、苦しそうに笑って言った。
やがて、車の扉が閉まる音が聞こえる。


  デーボ:やれやれ…さてと…狙いは俺だろう…?お袋さん。
      ターゲットに狙いを絞りな…!


そう叫ぶ。
ワクワクしている自分が、楽しんでいる自分が怖いような気がした。

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