続・ご近所ジョジョ物語
デーボ編・第7話「分かれ道」

                       


霧がどんどん濃くなる。
くるりと向きを帰ると、旅館の玄関へ走る。
さっきの人間のクズの山がざわりと動いた。
案の定、中に入ると霧は追ってきた。
霧と、その従えるのは…
野犬の群れだった。
その群れを無視して玄関の扉を閉める。
バン、バンと音がする、そのうちぶち破って入ってくるだろう。

デーボ:邪魔だ


ドガガガガガガガガガ!
ガトリングがまた吼える。
笑っている自分に気づいた。


デーボ:もう駄目なのか…もう…


笑いながらそう呟く。
玄関の扉ごと野犬が吹っ飛んだ。
霧が、すっと消える。
見ると、すでにポルナレフたちの姿は無かった。
これで、よかったのか…
J・ガイルの近くまで歩く。


  デーボ:いつまで寝たふりをしている?
J・ガイル:……
  デーボ:J・ガイル?
J・ガイル:……俺は…
  デーボ:なに?
J・ガイル:俺はママになにもしてあげられずに終わりたくない!
  デーボ:!


がばっと飛び起きたJ・ガイルの腕が、デーボの胸倉を掴む。


  デーボ:殺すぞテメェ
J・ガイル:終わったら、もう会えないんだ、ママには、もう会えないんだよォォ
  デーボ:なんだと…?
J・ガイル:俺は力無いよ!俺はどうせなにも出来ないよ!
  デーボ:おい!
J・ガイル:なにもできないけど、ママの笑顔くらい見たいんだよ!!!!!
  デーボ:いいかげんにしろ!


J・ガイルの身体を掴んで跳ね飛ばす。
うつ伏せになったJ・ガイルの肩が震えている。

  
  デーボ:どうせなにも出来ないってのはなんだ?どうせってのはなんなんだ?!
J・ガイル:グ…ッ
  デーボ:俺だってなぁ!なんも出来ねぇよ!馬鹿だしイカレてるし、
      人一人守れねぇような大馬鹿だよ!
J・ガイル:……!
  デーボ:やめたくっても殺しは楽しいし、何言ってごまかしても
      本当はこの仕事が好きだよ!けどなァ!!!
      これ以外なにも出来ない、
      俺はこれをやめたらなにも残らないって思っても
      守りてぇもんがあったんだ、悪いか!
J・ガイル:俺だってな!なんもできないけどママを守りたいんだ!ママを幸せに…
      もう、なにも出来ないで終わるのはいやなんだよォ…
      だからお前が必要なんだ!!
  デーボ:俺はな…もう、この世界には戻りたくなかったんだ
J・ガイル:分かってらァそんなこと。でも…
  デーボ:俺は…なんの為に生きてるんだろうな…
J・ガイル:おい…
  デーボ:お前は…なんの為に生きてる?


そう言って、ガトリングをJ・ガイルに向ける。


J・ガイル:おい?
  デーボ:お前が死ねば。俺は自由になれるか?
J・ガイル:こ、殺すのか?!
  デーボ:テメェが居なければ何もかもがうまくいく。
      安心しな、お袋さんと一緒に埋めてやるよ!
J・ガイル:ママも殺すのか!?
  デーボ:黙って死ね


……
しんとした空間。
身体の2箇所に痛みを感じる。
熱いものが口から吹き出すのを感じた。


左胸を、ハングドマンのナイフが貫いている。
もう1箇所は腹に銃弾を…


J・ガイル:……マ…ママ?


J・ガイルが振り向いて旅館の方を見る。
痛みよりも、熱さを感じる。
これで、終われるのか、また俺は、この終わり方を選ぶのか。


  デーボ:お袋さん…イイ人だな
J・ガイル:わざと…わざと挑発しやがったな?!
  デーボ:俺に…縛られて…いるものが。これで自由になる…
J・ガイル:俺もお前に縛られてたって言うのか?!
  デーボ:自由になれ、J・ガイル…
J・ガイル:ふ、ふざけるなァァァああ!絶対、死なせねぇ!


土の感触。
冷たい土の感触。
俺はこれに帰るのか…
冷たい、な…
  


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