続・ご近所ジョジョ物語
ポルナレフ編・第8話「大騒ぎ」

                       

澱む空。冷たい空気。
地面に残った黒いしみ。
車から降り立ったポルナレフが、そのあたりの土を触る。


ポルナレフ:…これは…
    鈴:…
ポルナレフ:まさか、そんな、そんなわけ…
    鈴:行きます。
ポルナレフ:え?
    鈴:た、建物に行きます!
ポルナレフ:音羽さん…
    鈴:こ、怖いので一緒に来て下さい〜
ポルナレフ:勿論ッすよ!


旅館の玄関で音をたてて、首をすくめる。
静寂の山の中ではどんな小さな音も響く。


ポルナレフ:気味が悪いですね…
    鈴:お化けやしきみたいですよね〜
ポルナレフ:や、やめて下さいよ、音羽さん〜
    鈴:あれ?苦手ですかー?
ポルナレフ:いや、別に、いや、苦手なんて、そんな、ねぇ?


慌てて両手を振るポルナレフ。
鈴がそれを見てくすりと笑う。


J・ガイル:ブキミで悪かったな
ポルナレフ:これだけ古いと幽霊屋敷みたいだよ
    鈴:でも風情もありますよ〜
J・ガイル:そう言ってくれると嬉しいんですがねぇ
ポルナレフ:あ?
    鈴:ひゃ!
J・ガイル:鈍い人達だなァ…あんたらいつか死にますよ?
ポルナレフ:いつの間に!くそテメェ、デーボをどうした?!
J・ガイル:さぁ?
ポルナレフ:この、ふざけるな!チャリオッツ!
J・ガイル:残念でしたまたどうぞッ!


チャリオッツの剣がJ・ガイルの鼻先を掠める…
瞬間、甲高い音が響く!


ポルナレフ:な、なに?!
J・ガイル:(声のみ)そっちは鏡ですよ
ポルナレフ:んのやろう、おちょくりやがって!どこにいる?!
    鈴:いなくなっちゃいました…で、デーボ様はどこに…
ポルナレフ:くそ、こう薄暗くちゃよく見えねぇ
J・ガイル:あんた等もしつっこいねぇ


ゴン。小気味いい音がして、ポルナレフが頭を抱える。


ポルナレフ:い、いってー!チャリオッ!


振り向きざまに斬り付けるが、そこにあるのはまた鏡。


J・ガイル:はずれ♪
ポルナレフ:てめー!
J・ガイル:あ〜あんまり壊さないでくださいよ、後始末が大変ですよ〜
ポルナレフ:こそこそとスタンドつかいやがって!本体出てこい!
J・ガイル:いやです、あんた怒ってるし
ポルナレフ:怒らしたのはオマエだろうが!(ガチャーン)
J・ガイル:ああっ!また割る!
ポルナレフ:でてこい!さもないともっと割るぞ!
J・ガイル:な、何て理屈ですか…!
ポルナレフ:(ガチャーン)
J・ガイル:ひゃああ、チョットチョット!それは窓ガラス!
ポルナレフ:なんか校舎壊してる不良みたいな気分になってきた…
    鈴:ポルナレフさん…なんか楽しそうですよ
ポルナレフ:そ、そんなことないっすよ(ガチャーン)
J・ガイル:ば、馬鹿!結構ガラスってのは高いんだぞ!弁償しろ!
ポルナレフ:なんだよオマエ。俺たちを殺す気がねぇのか…?
J・ガイル:ありませんよ…
ポルナレフ:まさか…デーボが寝返ったのか!?
J・ガイル:ブー
ポルナレフ:んじゃデーボを殺したのか?!
J・ガイル:かろうじてブー
ポルナレフ:…俺たちすれ違ってて実はもう帰ったとか
J・ガイル:ピンポーン
ポルナレフ:な、なんだってぇぇぇえ
J・ガイル:うそ。
ポルナレフ:きぃぃぃぃ!殺すーーー!(ガチャガチャーン)
      壊してやるこんな旅館ー!!(ドカーン)
J・ガイル:ああああ!待って待って、俺が悪かったです、出て行きます―!


バコン。
外から来客が…玄関が少し開いた。
そしてそこからJ・ガイルが…


ポルナレフ:外にいたのか?!
J・ガイル:盲点でしょ
ポルナレフ:気がつかなかった…。
    鈴:ずっと外から声がしてましたよね
J・ガイル:でしょ
ポルナレフ:お、音羽さ〜ん
    鈴:はい?
ポルナレフ:気づいてたなら教えてくださいよ〜
    鈴:あ、気づいてらっしゃらなかったんですか?!
ポルナレフ:くぅぅううう。俺って〜…。
J・ガイル:デーボは…
ポルナレフ:!
    鈴:ど、どこなんですか?!
J・ガイル:奥の部屋に転がってますよ
ポルナレフ:それってどう言う…
J・ガイル:あのやろう、俺にわざと刺させやがって…
    鈴:そ、そんな……!


へたへたとしゃがみ込む鈴。
慌てて駆け寄るポルナレフもそこにしゃがむ。


J・ガイル:アイツが挑発したんですよ!俺だって刺すつもりなんか…!
ポルナレフ:ゆ、ゆるさねェ!殺す!(向き直る)
J・ガイル:え?!ちょっ!


ガツン!
すごい音がして、J・ガイルが吹っ飛ぶ。
仰向けに倒れたJ・ガイルが、顔面を押さえてうめいた。


    鈴:いっ痛いです〜!
ポルナレフ:すみません!ぶつかりましたか?!
    鈴:J・ガイルさんが痛いですー!
J・ガイル:ひ、人の話聞かずに殴りつけるなんて、野蛮な野郎だな!
ポルナレフ:なんだと、もう一発いれてやろうか?!
J・ガイル:あのなあ、お前等が関わる問題じゃないんだよ!
ポルナレフ:何が問題だよ、テメェが問題なんだよ!
J・ガイル:俺を勝手に問題にするなよ!
ポルナレフ:うるせぇ!
J・ガイル:あんたがうるさい!
ポルナレフ:テメェだってんだろーが!
J・ガイル:知らないくせに知ったフリをするな!
ポルナレフ:……し
J・ガイル:?
ポルナレフ:しらねぇよ、デーボとあんたがどんな風に生きてきたかも、
      これからどうしたいのかも!
      俺だってどうしたらイイかわからねぇよ!
      でもデーボに生きてて欲しいんだよ、頼むよ、殺すなよ!
J・ガイル:だから死んでませんよ!
ポルナレフ:へ?
    鈴:え!?



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