続・ご近所ジョジョ物語
ホルホース編・第1話「漫画」

                       

 ホルホース:ンっン〜♪俺の女はぁ〜ンイイ女ぁ〜
  ミドラー:なに歌ってんのよ・・
 ホルホース:おおっとイケねぇ、一人の時のクセがつい・・
  ミドラー:なに、一人でいるとき歌・・歌ってたの?
 ホルホース:しかもっ!俺作詞作曲〜!!すげえ、プレミアもんだぜぇ、聞けたのは。
       天の恵みか哀れみか〜♪
  ミドラー:おかしな人だと思われるから止めなさいよ・・
 ホルホース:ん?そっか?俺おかしいか?


昼間から酔っ払いのようなホルホース。
探偵業も上々で鼻歌も出るってもんだ。
アレッシーは役に立つし、なにせ、美人秘書つきっ!


 ホルホース:やっぱこうこなくっちゃなぁ〜!人生ってのはイイのォ〜
  ミドラー:ひとり言多いのね・・・ちょっとショック・・
 ホルホース:ひとり言ではないのだ。俺の魂の叫びなのだ。
  ミドラー:世間一般ではそれをひとり言って言うのよ。
        勉強になったでしょ、はい、コーヒー
 ホルホース:お、サンキュ


事務所内のもう一つの狭い部屋では、アレッシーが子供をあやしている。
いつのまにかただの子供預かり所状態にはなったが、収入になることには変わりない。
またまた鼻歌も出るってもんだ。
そんな感じで上機嫌でいた俺の耳に、電話のベルが飛び込む。


 ホルホース:おおっと!おいでなすったかな?
  ミドラー:はいはーい。お客さんだといいわね。はいもしもし〜


鼻歌を止めて、ミドラーの様子をうかがう。


  ミドラー:え?駄目よ、こんなことして遊んでちゃ。え?だって、キミ子供・・
 ホルホース:なんだなんだ?
  ミドラー:子供が依頼したいって・・・遊びのつもりなんじゃないかなぁ・・
 ホルホース:イイからかわれよ。ほい、ホルホース本人登場〜


ホルホースの顔をじっと見つめるミドラー。
どんな反応を示すのか、気になるのだろう。


 ホルホース:ん〜、じゃあ、探し人ってことかい。ん〜そうだなぁ・・支払能力にもよるんだが・・。
       法律的に、こう言うのは保証されてないからなぁ・・・・だってキミ未成年だろ?
  ミドラー:ほらほら、やっぱいたずらよ―
 ホルホース:ん?そっか・・・それはいいかもな・・よし、
       俺の事務所までこれるかな?OK、まってるからな!
  ミドラー:え?!え?!待ってるって・・・引き受けるの?!


電話を切ったホルホースの耳元でミドラーが叫ぶ。
隣の部屋からアレッシーが、口に人差し指を当てて見せる。
ホルホースが耳をふさぐ。
ミドラーがペシンとその頭を引っぱたいた。


 ホルホース:ミドラー、いいか?支払能力があれば、相手は客。イイな?
  ミドラー:あればの話でしょ?
 ホルホース:無いと思うか?相手は子供だと?
  ミドラー:無いでしょうよ〜
 ホルホース:普通の子供なら、な。
  ミドラー:え?!違うの?!
 ホルホース:今流行りの漫画家、しってるか?
  ミドラー:え?
 ホルホース:ボインゴ。聞いたことあるだろ?この名前。
  ミドラー:ええー?!今大人気の漫画家じゃん!うそー!あの変った作風の〜!小学生なんでしょ?!
 ホルホース:そう言うこと。ドゥ〜ユ〜アンダスタァン???
  ミドラー:OKOK!やったあ!サインもらう〜!!
 ホルホース:馬鹿、仕事だ、あんまり調子に乗るなよ?
  ミドラー:あ・・はい・・・・・ごめんね・・???
 ホルホース:サインは一つまで。
  ミドラー:えへへ。コーヒーもう1杯飲む?


愛想が良いミドラーに苦笑しながら、新聞をめくる。
と・・・そこで石のように・・
新聞を広げたまま固まっているホルホースに気付いて、ミドラーが肩をつつく。


  ミドラー:どうしたのよ?
 ホルホース:こりゃ・・・・厄介かもしれないぞ・・・・あああああ俺ってこう言うのばっか・・
  ミドラー:なによ?新聞がどうかし・・た・・・・って・・・これ・・


二人が覗き込んだ新聞の見出し。
「今人気の漫画家、ボインゴ失踪中?!自殺説浮上か?!」
大きく踊っているその見出し。
口がぽかんと開いたまま閉じない。


 ホルホース:変なことにまきこまれなきゃ良いがなぁ・・
  ミドラー:・・・ホルホース・・言ってる割に顔が嬉しそうよ。
 ホルホース:お?そ、そんなこたぁねぇよ。
  ミドラー:ほら目が笑ってる
 ホルホース:いやいや、いざとなったら警察に連れていけば、感謝礼状なんて考えてねぇよ!
  ミドラー:馬鹿
 ホルホース:ああああ!言ってしまったぁぁぁぁぁl!
  ミドラー:アンタらしいわ・・・・その手もあったのかぁ
 ホルホース:お前まで笑ってどうする
  ミドラー:いややっぱ世の中金でしょ。
 ホルホース:へッへッへ、言うねぇお嬢さん。夢や愛はどこにいったんだい?
  ミドラー:あるわよ、ここに


そういってホルホースのほほに軽いキスをする。
苦笑しながらそれを受けとめる。
と、軽いチャイムの音。


 ホルホース:来たか・・
  ミドラー:失踪漫画家・・・見つからないで来られるのかしら?こんなに記事でてるのに・・。
 

その心配をよそに、入って来たのは小さな子供。
思ったよりも子供らしい外見に、ちょっと気が抜ける。


  ボインゴ:こ、ここここここk
 ホルホース:あ・・・っと?な、なんでしょう
  ボインゴ:こんにちば
 ホルホース:あ、はい、こんにちわ・・。さっきの電話の・・?
  ボインゴ:はぁ、はい!
 ホルホース:電話の感じとかなり違う雰囲気だな・・ねんのため、失礼ですがお名前は・・?
  ボインゴ:ボボボボボ、ボ、インゴですッ!はい!
 ホルホース:こりゃ驚いた・・・・アガリ症かい?まぁまぁ、こっち来て座ってください。
  ボインゴ:はい、はいはい。
 

おどおどしているボインゴをなんとかソファーに座らせる。
一息つくと、少し落ち着いたようだった。


 ホルホース:キミがあの、漫画家の・・。
  ボインゴ:それは・・言わないで欲しいです・・・はい・・ナイショと言うことで・・
 ホルホース:別にかまわんが・・元々個人情報は漏らさないのがこの仕事の流儀ですから。
  ボインゴ:そう、そそ、それでここに来ましたです。
 ホルホース:で・・・・なにから聞こうかな・・仕事の内容は・・・人探しと言っていたが・・・。
  ボインゴ:にいちゃん!
 ホルホース:うわ!!突然ビックリ!に、兄ちゃん?お兄さんを探すのか?
  ボインゴ:突然いなくなったです・・はい。
 ホルホース:で、探すためにまさか・・・・・
  ボインゴ:漫画なんか描いてる場合じゃないです。にいちゃんが・にいちゃぁんがぁぁぁぁl
 ホルホース:ああああ、泣くな泣くな!見つけてやッから!
  ボインゴ:僕も探したいんですぅ、全部人任せではイヤですから・・はい・・。
 ホルホース:OKOK。俺のやり方にちょうどイイ。
  ボインゴ:へ?
 ホルホース:依頼人と組んで仕事をするってのが、俺の流儀なのさ。
  ボインゴ:じゃあ、探してもらえるんですか?やぁやぁ〜ウケコクケケケケクコ
 

変った笑い声を聞きながら、ボインゴの抱えている本から目が離れない。


 ホルホース:商談成立・・ッと・・・聞いてもイイかな・・
  ボインゴ:ははは?はい、なんでしょう!
 ホルホース:その・・本・・・・ただの本じゃぁねぇな・・?
  ボインゴ:これは・・・・・・・・
 ホルホース:無理に答えなくったっていいぜ?お前のなんだから。


そういって笑ってやる。
どうも緊張がほぐれていないようだ。
だが。ホルホースがそういって笑うと、ボインゴがちょっと笑った。
少しずつではあるが、慣れて来ているらしい。


  ボインゴ:どうせ・・知ることになるでしょうから・・。
 ホルホース:なんだ?
  ボインゴ:これは、トト神です・・。
 ホルホース:・・・・スタンド?この本が・・?
  ボインゴ:ス・・・スタンド知ってるんですか?!
 ホルホース:とうぜん。


そういって、手のひらからエンペラーをのぞかせて見せる。


  ボインゴ:ああ!スタンド!銃だ!銃!かぁっこいいなぁ!!!
 ホルホース:銃が好きかい?
  ボインゴ:好きです!はい!ルパンでは次元が好きです!はいはい!!
 ホルホース:はっはっは、ルパンか。俺は不二子ちゃんが好きだなぁ
  ボインゴ:あれはよく出来た漫画です〜尊敬です!
 ホルホース:そーだよなー!!俺もあれは原作全部読んだからなぁ
  ボインゴ:僕は初版で全巻持ってますです
 ホルホース:なにいいいいいいっ!?すげええええ!マジ?今度拝ませてっ!それマジすげぇよ!
  ボインゴ:兄ちゃんが集めてくれたんです・・・に・・にいちゃん・・・・
 ホルホース:泣くな、ボインゴ。すぐ見っけてやッからよ!なぁ、相棒?
  ボインゴ:は・・はい!頑張ります!にいちゃん見つけます・・・・・・にいちゃぁん・・


泣いているのか笑っているのか、忙しい子供だった。
だが、ルパンで打ち解けた様子で、
さっきまでのおどおどした様子が少し消えていた。
泣きそうになっているボインゴの頭をぐりぐりしながら、
ホルホースは考えていた。


ホルホース:しっかし・・・・・・・・・・どこさがしゃぁ・・いいのかねぇ・・


続ご近所TOP/NEXT