続・ご近所ジョジョ物語
ポルナレフ&デーボ編・第5話「うたかたの宿」

                       


 ポルナレフ:どういうこった、これは?
   デーボ:DIOが、ホルホースに狙われているとでも?
ラバーソール:そう解釈するのが妥当だろうな
 ポルナレフ:DIOって誰よ
ラバーソール:仕事仲間、さ。
 ポルナレフ:ああ、ホスト?
ラバーソール:そゆこと。おっと、もうこんな時間か、んじゃ、悪かったな。
   デーボ:いいのか、J・ガイルは。
ラバーソール:もう、仕事の時間だ、DIOのことも気になるしな…
   デーボ:お前が守らずとも、DIOなら…
ラバーソール:わかってッけどな、
       相手がホルホースだ、どんな手使ってくるかわかりゃしねぇ。
   デーボ:そうか…そうかもな。
ラバーソール:じゃあな、鈴ちゃん、何とかしろよ

腕時計をちらりと見ると、ラバーソールがきびすを返す。
車の音が遠ざかる…


   デーボ:J・ガイルの野郎、なんのつもりなんだ…
 ポルナレフ:その、DIOってヤツも関連あるのかな
   デーボ:言ってみなければ何もわからん。車を出すぞ、そこをどけ


変に大きな車体が、エンジンの振動でブルリと揺れる。
ポルナレフが助手席に乗り込む。
自分が背負っているものはこいつには見えない
お互い、そう思っていた。


〜うたかたの宿〜


それは町外れの旅館。
旅行客も来なくなってしまった、さびれた温泉。
そのさらにはずれにある、旅館だった。
じめじめした、まるで映画に出てくるような木造の旅館。
黒っぽい壁が、生き物のように立っている。
入り口は表に一つ。裏に小さな木戸が一つ。
一回の窓は、木の枠で格子がかけてある。


ポルナレフ:気味の…悪いとこだな…


車から降りるなり、そう呟く。
デーボが車の後部座席から、大きなトランクを引きずり出している。
2階建て。古い造りなので、1階1階の天井はそう高くない、
だからこそ、旅館自体もそう高くは感じないはずなのだが…


  デーボ:ここには一度入ったことがある…
      はじめてJ・ガイルから依頼を受けたときだ。
ポルナレフ:……
  デーボ:ここにいるのは、恐らくJ・ガイルだけじゃない。
ポルナレフ:自宅じゃなかったのか?ほかに誰か仲間が…
  デーボ:仲間より性質が悪ィ。J・ガイルのお袋さんがいる。
ポルナレフ:なんだそりゃ?!親子揃って、犯罪者かよ?!
  デーボ:寝たきりだと聞いているが…果たして、どう来るか…
ポルナレフ:一つだけ、聞きたい。
  デーボ:なんだ?
ポルナレフ:母親も、スタンド使いなのか?
  デーボ:当然だ
ポルナレフ:……ぞっとするね…。


もう一度旅館を見上げる。
ゼッタイに待ち伏せされている。でも入らないわけにもいかない。
どう、身構えたらイイものか、迷う。


  デーボ:行くか
ポルナレフ:お、おう。


旅館の玄関をはいる。
じっとりとした空気が、こもっている。
使われていないはずなのに、埃も積もっていない。


ポルナレフ:不気味だな
  デーボ:わかりきったことを言うなよ


奥のほうまで、廊下が続いている。
はいる前はそんなに広く見えなかったが…これも空間の魔術ってヤツか。
突き当たりの鏡が、自分たちの姿を写す。


  デーボ:いるのか、いないのか、出てきたらどうだ?J・ガイル!


しんとした旅館に、響きもせずに伝わる。
と…
鏡が、動いた?!
そこは扉になっていたようだった。
勝手に、開く。微かに、軋む音をさせながら。


  デーボ:入れってことか?
ポルナレフ:気持ち悪いなァ…
  デーボ:なんだ、ビビッたのか?
ポルナレフ:何言ってやがる!俺はちょびっとだけ
      ホラーが苦手なだけだッ!


鏡の向こうに、何かが動くのが見えた。


  デーボ:?!
ポルナレフ:な…なんだ?


ずるり、ずるり、と音がする。
それに混じってなにかが滴り落ちるような音も…


  デーボ:来やがった…か…あんまり見たくなかったが…
ポルナレフ:え?何?なんだよォ?!
  デーボ:死体だ


扉が開ききったその向こうには、溶けかかった身体の人間らしき物体が
ごぞごぞと蠢いているぅぅううう!


ポルナレフ:い…いギャああああ?!何?!何ッ!?何あれ?!
  デーボ:だから言ったろう、死体だ
ポルナレフ:こっちに来るゥ〜!!


じわり、じわりと動いていた死体達だったが、次第に動きが人間らしくなってくる。
はた目が人間らしくないだけ、余計に不気味だ。


  デーボ:これが、J・ガイルの母親。エンヤのお袋さんのスタンド能力だ。
      ……絶対に、傷一つつけられるなよ
ポルナレフ:な、どう言う、ことッ?!
  デーボ:傷をつけられれば生きたまま、ああ言う風に操られる。
ポルナレフ:めちゃめちゃいやだァああ!か、帰る!
  デーボ:…勝手にしろ。鈴さんがどうとか言っていたが、
      アレはハッタリだったようだな
ポルナレフ:鈴さん!
  デーボ:死にゃしないさ。
      ただ、ばぁさんのスタンドが解除されない限り、
      操られつづける…それだけだ
ポルナレフ:くそ……!!!チャリオッ!
  デーボ:スタンドを解除しろ
ポルナレフ:え?!
  デーボ:イイから。


もう、手を伸ばせばとどく所まで、死体達が迫ってきている!
ガチャリ。
デーボがもっていたトランクケースが開いた…


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