■餓狼伝説、KOFのストーリーとは全く関連ありません。設定も違うです。

winter snow

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■歩く女
マリー「ったくもう、こんな場所しか歩かないんだから!」

通称ブルーマリー。女性警察官。
山崎竜二の保護監察役を引き受けさせられて愚痴愚痴歩く。
山崎が歩いているのは無論夜の繁華街。
自分が逮捕された地域を歩こうッてんだから、イイ度胸だと思う。
とばっちりを食らって期限悪そうにマリーは歩いていた。
声をかけるホストの顔に一瞥をくれて、さっさと歩く。

マリー「ちょっと、あんまりくっついて歩かないでよ」
  社「俺だってくっつきたかねェけどな!アベックのフリしねぇと妙だろうが」

なんつー組み合わせ。
マリーと社は互いにドツキあいながら仲がよさそうなフリをして歩いている。
十分妙ですぜあんた等。
 
  社「アイツが家に帰るまで、ずっと付けるのかよ?」
マリー「家に帰ってからも、よ」
  社「えええー!!面倒クセェ!」

七枷 社は刑事一年生。
遊んでばっかりの息子に嫌気が指したお父様が
無理やり押しこんだのが警察学校。
外面だけは良かった学生時代。
そのおかげか、妙な位置に就職させられる羽目に。
たまたま悪徳宗教の教祖と飲み屋で殴り合い、別件で検挙してのし上がる。
イイのか人生こんなんで。
イイのか設定こんなんで。

マリー「あれ…なんだとおもう?」

マリーが指差した先を見る。

  社「山崎だと思う」
マリー「そうじゃないわよ!その後ろ!」
  社「ああ?」

ずっと山崎のあとをつける女が一人。
女って言うか、いまどきの女子高生?
いや、女子高生にしては、ちょっと大人びている。
ミニスカートがぎりぎりまで短くって、
社の目がそっちに行くのをマリーの拳が制した。

  社「見ねぇ顔だな、繁華街の住人じゃねぇぞ」
マリー「あんたが知らないなら、そうなんでしょうね。」
  社「ちょっとどー言う意味よ」
マリー「そう言う意味よ」

本当に仲のイイカップルだこと。
当の女子高生もどきは、山崎に何度か話しかけているようだった。
そのたびに、山崎が牙をむいて睨みつけ、
返答されるたびに疲れた顔をして向き直る。
山崎がこっちを向くたびにどきりとする。
別につけてるのがバレて悪いわけでもないんだけど、職業の性質上ってヤツか。

  社「彼女?」
マリー「娘かも」
  社「いや、案外孫かも」
マリー「山崎って何歳だっけ」
  社「30前半」
マリー「幼稚園の頃に子供作ってその子供が
     小学生のうちに孫作れば可能かもね」
  社「んじゃ、なんだありゃ」
マリー「彼女にしても若いわよ…ロリコンだって話は聞いてないんだけどなぁ…」

言いたい放題だねあんた達。
そうこうするうちに、山崎の腕に女子高生もどきが絡みついた。
あんぐりと社の口が開く。

マリー「みっともないわよ」
  社「勿体ねぇ〜結構後ろ姿、可愛い子なのに」
マリー「んじゃ分捕ってきなさいよ」
  
マリーの指が社の後ろ髪を引っ張る。
社が頭をさすりながら、山崎を確認する。
女子高生もどきがちらりとこっちを見たような気がした。

  社「オイ…マリー…」
マリー「なに?」
  社「今チラッと見えたよな、女の顔」
マリー「目がイイのね。横顔がチラッと見えたけど、よくわからなかったわ」
  社「俺帰ってイイ?署に行く」
マリー「え?なんでよ?」
  社「あの顔…見たことがあるような気がすんだ」

社の顔が曇る。
思い出せない。どっかに引っかかるあの顔。
どこかで見たような気がする…
マリーが真面目な顔をして覗きこむ。
なにかで見た…なんだろう…有名人?…犯罪者?うーん…

その後、少ししてマリーと社は離れた。
山崎の帰る場所はわかっている。
そこであとで落ち合う事に決めて。
疑問を抱えたまま、夜がふける。


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