続・ご近所ジョジョ物語
ラバーソール編・第3話「CP」

                       




ついてこい、俺を補足して。
俺は何に挑戦したがってるんだろう。俺自身のなにをかけて?プライドか。
誰にも、負けたく無い、それだけで生きているような自分が
自分が…。


ラバーソール:来たな…早速引っ掛かるとは、あちらさんもせっかちだねぇ。


そう言ってにやりと笑う。
今俺はDIOの姿をしている。
金髪が風になびく。ちょっと心地よいのが不思議だった。
おそらく、人気の無いところまでは襲って来たりはしないだろう。
人気の無いほうへ…行ってやるから、ついてこい…


ビルの裏手にさっと入る。
相手の動きがスタンドを通して伝わってくる、この感覚が俺は好きだ。
無論ビルの裏手に入ったのは俺の影。
俺自身を捉えることなく、ホルホース達がそちらに向かおうとした。
真後ろにいるってのによォ…
なあ。


ラバーソール:やはりホルホース、てめぇかよ。


後ろから軽く声をかけてやる。
追っていたDIOの姿を後ろに捉えたホルホースは驚愕のあまり引きつっていた。
一緒にいた小さな子供が妙な声を上げて逃げ出す。


 ホルホース:グ…いつのまに…!
  オインゴ:こ、こいつだ!手前のおかげでおれは!


見なれない男がくやしそうに俺を睨み付ける、
本人はDIOを睨み付けたつもりだろうが。


ラバーソール:俺のせいでおまえがどうかしたってのかよ。
  オインゴ:俺の足折っといて何言ってやがる!
ラバーソール:はは〜ん、そう言うことか
 ホルホース:なにがだよ



ホルホースとこの男。組んでるってところでもうピンと来た。
仕事か。ホルホースの野郎、こんな仕事引き受けやがったのか。


俺は笑いながらホルホースを覗きこむ。
こいつは俺に勝てない。そう確信していた。
俺のスタンド能力を知らないやつがおれに勝てるわけが無い。


ラバーソール:お礼参りのお手伝いかよ?探偵さん?
 ホルホース:仕事だよ、見つけたからには一発入れさせてもらうぜ!
ラバーソール:やってみ♪


勢い込んで掴みかかってきたホルホースの腕を、するりと払ってやる。
それは実体じゃない…俺はなにものにもとらわれたりしない。


  オインゴ:ホルホースさん!
 ホルホース:分かってらあ!


男が耐えきれずに叫んだ。頼りきってホルホースの名を。
ホルホースの顔が一瞬暗くなったような気がしたが、気のせいだったんだろう。
その手てにはスタンド、エンペラー、そう、いつかデーボを撃ったあのスタンドが握られていた。
挑戦する気か、それはプライドか。


 ホルホース:こっちだDIO!


轟音と呼ぶには軽い音で銃から弾丸が発射される。
力やスピードでは俺の弾幕ははがせないさ。
弾丸と同時に殴りかかってきた男を掴み取ってやる。


ラバーソール:撹乱ってか?無駄無駄〜!!なんちゃって!


ズバァッ!俺の体からDIOの仮面が剥がれ落ちる。
弾丸も、男の腕も、俺のスタンドに絡め取られて動かなくなった。
銃弾がかすかに動いて消える。


ホルホース:お、オマエ!


ホルホースが俺を認めて驚いた。
DIOじゃないと知っての驚き、そしてもう1つ、何かを感じ取っている、そんな顔で。


 
ホルホース:ラバーソ−ル!な、なんでおまえが…!
  オインゴ:う、腕が変な感じぃぃい
ラバーソール:
下手に動くと消化するぜ。俺のスタンドは”食う”スタンドだ
  ホルホース:食う?ま、待て、ソイツの腕食ったら殺すぞ!
ラバーソール:こっちだって理由いかんによっちゃ殺すさ。
 ホルホース:り、理由?
ラバーソール:なぜDIOを狙う?
 ホルホース:仕事さ。おまえが言ったように、お礼参りだよ!
ラバーソール:
……おれはJ・ガイルから、DIOを守ってくれと頼まれた。
 ホルホース:な、なに!?
ラバーソール:J・ガイルの理由はしらん、でも頼まれたとあっちゃほっとけねぇ
 ホルホース:こっちだって邪魔されちゃかなわねぇんだよ
ラバーソール:ソレはこっちの台詞だ。仕事だろうが生活がかかってようが、俺はオマエを阻止する
 

そう言って笑いかけてやる。
恐怖をあおる為に。
強くなければいけない、俺は。守る為に、俺自身と、愛する者達の為に。
強くなければ笑えない。
恐怖にあてられたホルホースは俺にもう一度銃を向けた。
怖いか…俺が。


ラバーソール:買収されてみるか?それとも俺を倒してDIOを殴るか、どっちにする?
 ホルホース:オマエ、いくらでやとわれたんだ


探偵らしい発言なのか。
理解しがたいと言った顔で俺から目をそらさない。


ラバーソール:無料奉仕さ、で、どうする?
 ホルホース:な…
ラバーソール:俺気が短いんだけどな…


実際イライラしてくる。
弱虫は背中見せて逃げだしゃいいんだ。


 ホルホース:オマエは…
ラバーソール:やる気があんのか、ねぇのか、どっちなんだってんだよ!
 ホルホース:うるせェ!!!!


ホルホースの銃が俺の頭部に向けられた。
殺す気か?!
恐怖の対象を消そうとする行為、それは普通の行為だ。
だが、これは…こいつの顔は…。本気だ…。


 ホルホース:なんで理由も無くDIOを守るんだ!?
ラバーソール:なんとなくだよ、ワリイか!


俺だって知りてぇよ。
俺は何故DIOを守ろうとしているのか、守りたいのは本当にDIOなのか?
俺の力を誇示してみたいだけじゃないのか?


 ホルホース:人のために命なんか張れるもんか!
ラバーソール:はぁ?なに言ってんのオマエ?
 ホルホース:俺が、俺は、なんのためにこんな事をして
ラバーソール:オイ…?


ヤツの引き鉄にかかった指に力が入る。


 ホルホース:こんなことして!


悲痛な叫び。
なんの為にこんな事をして…
俺はなんのためにこいつと戦おうとした?
俺は死にたかったわけじゃない。


ラバーソール:お、オイ、ちょっと…
 ホルホース:おまえの頭狙って引き鉄引こうとしてんだこの腕は!?
        なんで、なんで俺は殺そうとしてんだァァああッッ!??!


ヤバイ…!
パニックに陥った相手はいくらなんでも危険過ぎる!
俺だけじゃない、もう一人の男も唖然としていた。
銃弾が、俺の首をそれて行く。
死にたかったわけじゃない。動けなかったんだ。
俺は、やっとのことで、一言だけ。
一言だけヤツに返すことが出来た。


ラバーソール:俺が…怖いかよ
 ホルホース:うるせェっェエエエエ!!!!

ホルホースが頭を抱えて座りこむ。
俺は俺自身の為にコイツを傷つけた?
それでも俺は笑う。笑うしかなかった。
俺は何も知らない、何もできない、それが分かってる、
そして苦しみから逃れる為に、笑いつづける。



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