続・ご近所ジョジョ物語
ラバーソール編・第1話「アナタと」

                       

 ガシャーン!ガラガラガラ…
割れるような音が響いて、俺はがばっと置きあがった。
いつのまにか眠ってしまっていたらしい。ベットに入った記憶は無い…
ふかふかのマットの上でちゃんと布団をかけられている。また世話かけちゃったかな…
 
  ガン!
もう一度せかすような音。


ラバーソール:お、オイ、何の音だ?大丈夫かよ!?
D・ダービー:た、助けて〜
ラバーソール:な〜にやってんだか


台所を覗くと、鍋をかぶったD・ダービーが情けない顔をしている。


ラバーソール:どした?怪我ないか?
D・ダービー:ゴキブリー
ラバーソール:な、泣くなよ!大丈夫、ゴキブリなんか食ったって死にゃしねぇって
D・ダービー:食べるの?!いやああ
ラバーソール:あっはっは、大丈夫か??たてる?
D・ダービー:大丈夫よ…
ラバーソール:ほら


手を差し出すと、D・ダービーはちょっと笑って抱きついてきた。
よほど怖かったんだろうな…


D・ダービー:あ、そうだ、手紙
ラバーソール:手紙?


卓に座りながら近くにおいてあった封筒を差し出す。
柔らかいパステル調の色の封筒だった。


D・ダービー:差出人が無いのよ
ラバーソール:ん〜?俺宛て?
D・ダービー:そうよ。


そう言っただけでちょっと尖ってみせる。
はは〜ん、やきもちか。


ラバーソール:貸せよ
D・ダービー:ココで開けてよ〜
ラバーソール:中身が気になる?
D・ダービー:なるわよぉ
ラバーソール:へーきへーき、多分あれだろ、店に来るおばちゃんだろーよ
D・ダービー:ラブレターだったらどうする?
ラバーソール:んなこと言って、自分で書いて俺に渡してんじゃねぇの?
D・ダービー:あ、それ面白そう!今度やろうっと
ラバーソール:おまえの字ぐらい分かるって。


くだらないことを話しながら、無造作に開封する。
べりべりべり。


ラバーソール:あ、中までやぶっちゃった
D・ダービー:見せて見せて!
ラバーソール:お、オイ
D・ダービー:ずいぶん破ったわね〜ん〜綺麗な字…なにこれ…?
ラバーソール:なんだよ?何書いてあんだよ、見せろって


眉をしかめるD・ダービーから手紙を奪い取る。
その文面を見た俺の顔はどんなだったろう。


ラバーソール:なんじゃこりゃ…J・ガイルから?
D・ダービー:「頼む、DIOを、ホルホースから守ってくれ。」
       DIO…なんかあったの?あの子あんまり素性知らないんだけど…。
ラバーソール:そんな話は聞いてねぇ。なんなんだよ、これ…意味わかんねぇや
D・ダービー:でもなんか切羽詰ってる感じよね。
ラバーソール:封筒パステルだけどな。
D・ダービー:可愛い趣味よね。
ラバーソール:本人に聞くのが一番早ぇかな?
D・ダービー:うん…そうね…。
ラバーソール:どうしたよ、浮かない顔だな?
D・ダービー:うん、ちょっと、大丈夫、なんでも無いわ。


いやな予感がする。そんなこと言ってもしょうがないじゃ無い?
ただの予感だもんどうってこと無い。
そう自分に言い聞かせてみる。
目の前で笑っていてくれる、ラバーソールはいつでも安心をくれる。


ラバーソール:心配すんなって、俺最強だから。


そう言って笑う。
俺はよく笑うと言われる。
DIOにも言われた、客にも、D・ダービーにも。
笑う、それは自己防衛手段か。それとも自信の表れか。
……人は恐怖すると笑うと言う。

D・ダービーにコーヒーを入れてもらいながら、そんなことを考えていた。
不思議そうな顔をして覗き込んでくる。


ラバーソール:なんだよ?
D・ダービー:真面目な顔してるから、珍しいなとおもって。
ラバーソール:貴重な体験だろ、めったに見れないぜ〜らっきーって
D・ダービー:なに言ってんのよ〜バカね〜
ラバーソール:俺は真面目な顔して生まれてきたんだから。いや本当に
D・ダービー:気持ち悪いわよそんな子供〜!
ラバーソール:もう凄い真面目な顔で、将来は大統領だと言われたんだぜ
D・ダービー:凄いウソね……


D・ダービーが笑った、ほっとする。
人の笑顔ってのはやっぱりイイ。
自分の笑顔よりも数段に。
時計を見ると、もう午後だった。
常に夜行動しているから、朝に寝る週間がついている。
まぁ、ホストと言う商売柄、こう言う逆転は当たり前だ。


ラバーソール:J・ガイルの店の電話番号知ってる?
D・ダービー:知らないわ。って言うより、あの店電話無かったような気がするわ
ラバーソール:変な店だな〜くそ、行かなきゃなんねえじゃん
D・ダービー:J・ガイルのお店に行くの?
ラバーソール:この手紙のはっきりした意味を聞きたいしな、
       なんでホルホースなんだか、なんでDIOなんだか、なんで守るのか。
       これじゃ全然わかんねぇもん
D・ダービー:アタシも…
ラバーソール:店の用意は?発注するとか言ってたじゃん
D・ダービー:そうなんだけど…。でも…
ラバーソール:大丈夫だろ、まだDIOは寝てるだろうし、アブネェことなんかねぇって。
D・ダービー:わかった。気をつけてね?
ラバーソール:りょーかい♪ほんじゃそろそろ行くわ。帰りになんか飯買ってくるから
D・ダービー:ありがと


ノースリーブのシャツに、軽いコートを羽織る。
鮮やかな色は俺の趣味。子供のころから目立ちたがりやだった。
D・ダービーの頭を軽くぽん、と叩いて部屋を出る。


ラバーソール:人騒がせなやつだよな、J・ガイルの野郎…


そうツブヤキながらちょっとワクワクしている自分が楽しかった。
俺は自分のこう言う不真面目なところが一番好きだ。
こういう
強がる所が一番好きだ。
俺の笑う意味は……


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