ご近所ジョジョ物語
第4話・扉
                       

J・ガイルがかがみこんで何かをしている。
向かいにはデーボ。カウンターごしになにか話している・・。

 ホルホース:・・・・まずいとこに来たかな?
  ミドラー:え??
 ホルホース:いや・・・なんでもないですよ。


そういって、店の扉を開く。
J・ガイルが持っていたものを下に置きなおした。
横目でそれを見、デーボに話し掛ける。
他愛ない会話。デーボとホルホースは、裏の世界ではお互い良く知った顔だ。
ホルホースは探偵。密輸から詐欺まで、幅広く手負う。
デーボは呪殺を売り物にしている殺し屋。
実際はスタンドの能力なのだが、
呪うと言う触れ込みがかなり印象に残るらしい。


J・ガイルがじっとこちらと見ている。
女の話題でデーボをからかうと、J・ガイルが歯軋りをするのが見えた。


そこへ・・・。
扉が開く。客?・・・・・・いや・・違う。
 

  女子店員:あ・・・!デーボ様、よかったです!
   デーボ:あ・・・は???な、なにか?!
  女子店員:はい、こちらを落とされたようなので、お持ちしました。


そう言って入ってきたのは・・・おとなしい感じのする女の子だ。
綺麗なストレートの髪が栗色に光っている。
どうやら、デーボの忘れ物を届けに来たらしい・・。


 ホルホース:ハァン・・・・。なるほどね・・。
  ミドラー:なにが?
 ホルホース:デーボの惚れた相手さ。
  ミドラー:へぇ・・意外ね・・ああいうのが好みなんだ。
 ホルホース:また三つ編みいじってらぁ。
  ミドラー:カワイー。あんな頃が私もあったかな・・。
 ホルホース:ん・・・??センチなお言葉じゃないですか。
  ミドラー:い、いいじゃない、悪い??
 ホルホース:いんや。女はそういうほうが可愛い。
  ミドラー:・・・・・・・・・・!


ホルホースがそう言ってウインクすると、ミドラーはそっぽを向いてしまった。
やれやれ、とつぶやいて、デーボのほうを見る・・・・ん?? 

     鈴:デーボ様は・・・・・えっと・・・・
        あの・・・・・素敵な方です・・。
ホル・ホース:なぬぅ??!!


さっきの女の子がついに告白かぁっ?!!!
そういやなんか顔赤くしてるし、って、それって、両想いか??
いやいや・・参ったね・・。
驚きのあまり、大きな溜め息が出る。
ミドラーも肩を震わせている。
笑っちゃいけませんぜ、お嬢さん。
こういうのも愛でさぁ。
だが、そんなことを考えている雰囲気ではなくなってきていた。



     鈴:おかしいでしょうか?
 J・ガイル:ハァッハッハッハッハ!!こりゃいいや!
       このお嬢ちゃん、呪いのデーボが好きだってよ!!
   デーボ:テメエ、いいかげんにしろ!!!


ミドラーが、デーボの顔をじっと見ている。
なにかいいたそうに、しかし冷たい目で。

怒りのあまり、デーボがJ・ガイルに掴みかかる。
当のJ・ガイルはあざけるように笑う。


 J・ガイル:これがこの男の本性さ!3日に一度は切り刻んでるヨォ〜ッ?!
       どうする?お嬢ちゃん、警察に訴えなくっちゃならないねェ〜?
   デーボ:J・ガイル・・・何のつもりだ?!


胸倉をつかまれたまま、J・ガイルがなにかデーボにささやいている。
デーボの腕にさらに力が入る。
口封じ、と言う言葉が聞こえた。
それに反応して女の子がおびえて逃げ出そうと・・。


 ホルホース:・・・!!!


J・ガイルが、身の毛もよだつような、薄気味悪い笑いを浮かべた。


 ホルホース:・・・ハングドマンかっ・・・・


標的は女の子だ。こいつの悪趣味にもほとほと愛想が尽きるぜ・・ッ!!
銃を構えながら椅子を蹴って立ちあがる。
エンペラーの引き金を引こうとしたそのとき・・・。

J・ガイル:ぐェえェッ!!

鈍い音が響き、J・ガイルが吹っ飛んだ。
見ると、デーボが固くこぶしを握り締めている。


ホルホース:・・・・・・・・・・・・。


後ろで、扉のばたんと閉まる音。
なにかとなにかをさえぎる扉と言う壁の音。
デーボが、力なくうつむいた。


 ミドラー:・・・・・・デーボ・・・・・・。呪いの・・。


ミドラーのその小さなつぶやきは誰にも聞こえなかった。


                           
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