ご近所ジョジョ物語
第5話・女
                       

倒れていたJ・ガイルがゆっくりと置きあがり、デーボに笑いかける。


J・ガイル:やってくれましたね・・・旦那・・。
  デーボ:自業自得だろうが
J・ガイル:あんたが素手で殴るだなんてねェ・・。驚いたよ・・。
  デーボ:・・・・・・・。
J・ガイル:知らないぜ?あんた、指名手配されちまうかもなァ?
  デーボ:・・・・・・・。
J・ガイル:追われて、朽ち果てて終わりかい?ケッケッケ・・。
  デーボ:殺すぞ・・・てめぇ・・・・。
J・ガイル:出来るならやってみな?あんたは血に飢えたバケモンだからなァ?
  デーボ:・・・・・・・ッ・・。


どうやら、騒ぎはここまでのようだが・・・。
あまりのJ・ガイルの暴言に、つい言葉が出る・。


ホルホース:いいかげんにしろよ・・この腐れ外道
J・ガイル:どうしました?お怒りのご様子で??ケッケッケ・・
ホルホース:ち・・・・相変らずキタネェ野郎だな・・。
J・ガイル:それは誉め言葉ですねェ。

チ、と舌打ちをして睨みつける。
ニヤニヤと笑うだけ。薄気味の悪い野郎だ・・。
 

 ミドラー:ねぇ・・。
ホルホース:・・・・え?・・・あ、お嬢さん・・。
  ミドラー:話があるの・・・表に出ない?
ホルホース:え?・・・・ああ・・。分かった・・。
      おい!J・ガイル、調子に乗るのもその辺にしとけ。
      本気で殺されてからじゃ遅いんだからな・・・・。
J・ガイル:へえへぇ。脅しですかい、止めてくださいよ?
ホルホース:ちょっと出てくる・・・・また来るからな?


ミドラーに促されるように表に出る。


ホルホース:一体どうしたんで・・・??
 ミドラー:いいから早く行ってよ。
ホルホース:??


まじめな声に戸惑いながら、店を離れ、小さな公園まで行く。


ホルホース:・・・ええ?公園って・・・・・だ・・大胆なお嬢さんだな・・。
 ミドラー:違うわよ!あんた、なんで黙ってたのよ。
ホルホース:へ??な、なにをですか?
 ミドラー:さっきのデーボ・・。
ホルホース:アイツが・・なにか?
 ミドラー:殺し屋なんでしょ?
ホルホース:え・・・・・ッッ・・・・・!!!!


しまった、と言う顔で、ホルホースが背を向ける。
その前にわざと顔を出すミドラー。


 ミドラー:その様子じゃ。分かったようね。
ホルホース:いや・・・・しかし・・・そいつぁ・・・ちっと・・。
 ミドラー:仕事は仕事。どう?別料金にするわよ?
ホルホース:俺に、アイツを仕留めろっていうんですかぃ?
 ミドラー:そうよ。


こう言うとき、女は残酷だ。
ミドラーは、そうよ、とハッキリ言ってのけた。


ホルホース:まあ・・・確かにアイツのほうが・・手柄にはなりますが・・。
 ミドラー:でしょ?どう?引きうけない?
ホルホース:・・・参ったな・。あいつを、俺が・・・。
 ミドラー:世話にでもなったの?
ホルホース:いや・・・・。
 ミドラー:ならいいじゃない。それとも自信がない?
ホルホース:お嬢さん、言っていいことと悪いことがありますぜ?
 

不意に顔をあげて、ミドラーをのぞきこむ。
すこし睨みつけながら。


 ミドラー:ナニよ・・・・脅す気?
ホルホース:・・・いいや。ミドラー。あんたは、そういう人なんだな?
 ミドラー:な・・なによ?
ホルホース:OK、OK。そういうことなら俺もそういう風に考えるさ。
 ミドラー:なんなのよ?
ホルホース:デーボを仕留めりゃいいんでしょう?
 ミドラー:やってくれるの?!
ホルホース:ああ。だがこれだけは言っておく。
      アンタには、一生恋なんて出来ねェよ。
 ミドラー:・・・・・・!!!!!!


立ち尽くすミドラー。顔が怒りに震えている。


ホルホース:どうしたい。そんなにこの言葉が引っかかったかい?
 ミドラー:最低よ、アンタ!
ホルホース:最低か。そう言う言葉は、誰と比べていってるんだ?
 ミドラー:・・・
ホルホース:自分と、か?自分より最低な人間は、嫌いか。
 ミドラー:なんでそんなこと言うのよ・・。
ホルホース:いま、アンタの頭ん中、自分の事でいっぱいだ。そうだろう。
 ミドラー:それがなによ!自分の事は自分で考える以外ないじゃない!!
ホルホース:だから、恋なんか出来ないって言ったんだ。お嬢さん。


口をつぐんでしまうミドラー。
傍らに立っているホルホース。
夕日が、ビルの影に、そして、地球の陰に隠れていく。


ホルホース:仕事は、やりますよ。お客様のご依頼ですからね・・。


ぎゅっと口を結ぶミドラー。
泣きそうな目を、瞬きもせずに、こらえている。


 ミドラー:あたしだって・・・好きでこんなんじゃないわよ・・。
ホルホース:・・・・・・。
 ミドラー:悪い?!そんなに自分の事考えるのが悪い?!
ホルホース:いんや。
 ミドラー:じゃあなんでよ!なんで私が恋が出来ない、なんて言うのよ!!
ホルホース:・・・・とりあえず、あなたの位置を整えなければならないんでしょう?
 ミドラー:答えてよ!
ホルホース:とにかく手柄を立てましょうや・・。
 ミドラー:なんで答えてくれないのよ!!
ホルホース:黙れよ、お嬢さん


低い声でホルホースが言う。
びくっとして、息を呑むミドラー。
目が会わせられない。


ホルホース:今説明しても、アンタにはわからない。
      体で経験してみることだな。
      終わる前に・・・・見つかるといいんだが・・・
 ミドラー:終わる前・・・?


ホルホースはそれっきりなにも言わなかった。
暗くなった公園をゆっくりと歩いていく。

そのときは・・・意外と早くやってきたのだ。
待つことなく。暗い闇を添えて。


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