ご近所ジョジョ物語
第3話・子供社長
                       

騒然としている店内。
その雰囲気に気づいたホルホース。
ゆっくりと歩を進める。
女達が甲高い声で話をしている。


 女の声1:みた?あれ!
 女の声2:見ましたわ!かわいそうに、子供が追いかけられて!
 女の声1:なんだか凶器を持っているようでしたわ!
 女の声2:まあ!物騒ですわね!警察は何をやっているのかしら・・!
ホルホース:・・・・・(聞いていて)まさか、お嬢さんじゃないだろうな・・。
 ミドラー:遅いじゃない!
ホルホース:お嬢さん!はぁ、よかった。
 ミドラー:どうだったのよ。それで。
ホルホース:それが、目的の人物はここに居るらしいぜ。
 ミドラー:え?!なんでそれをもっとはやく・・・!
ホルホース:とにかく探しましょう。どうやら今現在暴行中らしいですから。
 ミドラー:今捕らえれば、世間的にもお手柄よね!
ホルホース:そう言うことでさぁ。
 ミドラー:よっし!やるわよ!
ホルホース:参考までに、目的の人物の名はアレッシーだそうで・・・ご存知ですか?
 ミドラー:いいえ・・・道理でリストに載ってないわけだわ。
ホルホース:そうですか・・・・・ん??


ふと目をやった店舗に、そぐわない子供が居る・・。


ホルホース:勘ですがね、ちょっと失礼・・。
 ミドラー:何よ?
ホルホース:いや・・・自分の勘は信用してるんですよ・・。
 ミドラー:どこ行くのよ・・。


子供の前に来るホルホース。
子供が、こちらを向いてにっこり笑う。


   子供:いらっしゃいませ
ホルホース:こんにちわ。君が気になったんでね・・。
   子供:でしょうね、こんなところにはそぐわないですから・・。
ホルホース:・・・アンタ、子供じゃないだろう。
   子供:良くお分かりで・・・しかし。なんのご用でしょう?
ホルホ−ス:聞きたいなと思ってね・・・なんで子供なのかを。
   子供:通りすがりの暴行魔ですよ。
 ミドラ−:ドンピシャね・・。
ホルホース:今ですか?
   子供:そう。今さっき。
      だけど僕はここから離れるわけに行かなくってね・・困っているんだ。
ホルホース:店長さんで?
   子供:僕の名は花京院典明。そしてここは花京院ブランド・・ってね。
ホルホース:社長さんですかい・・こりゃ驚いた・・。
 ミドラー:それはそうと、どっちに行ったの、その暴行魔!
  花京院:今しがた向こうに・・・・・・あ・・・あれ?!
 ミドラー:どうしたの?!
  花京院:こっちに来る男!あれがそうです!!!
ホルホース:何ィッ?!


振り向きざま、エンペラーを浮かび上がらせる!
向こうから走ってくる男、・・・・・アレッシーだ!!!


ホルホース:あれか・・・!いただきだぜ!
 ミドラー:駄目よ!こんな所でー!
ホルホース:い?!お嬢さん?!


ホルホースの腕を掴んで静止するミドラー。

 
 ミドラー:こんな所で銃なんか使ったら、つかまるわよー!!
ホルホース:いや!あの、これスタンドなんでー!!
 ミドラー:駄目よ〜!って・・・・・え?!スタンド?!
ホルホース:これは俺のスタンド、エンペラーなんです・・・って!ああッ!


大騒ぎしているうちにみるみる遠ざかるアレッシー!
射程距離外までもう少し・・・!


ホルホース:チイッ!!届くか・・・!!
  花京院:地下に下りていく!
ホルホース:追うぜ、お嬢さん!
 ミドラー:私・・・また・・またやっちゃった・・・・・。
ホルホース:こんな事でへこたれちゃいけませんぜ!だから人生ってのは面白いんだ!
 ミドラー:・・・・サンキュ・・ホルホース!行くわよ!
ホルホース:アイサー!


地下に追って入っていくホルホース&ミドラー。
人込みに紛れてしまって、アレッシーの姿が見つからない・・・。
丹念に、人込みを見ていくホルホース。
きょろきょろと慌てているミドラー・・。


ホルホース:・・・・・!あんなトコに・・・・って。また?!
 ミドラー:え?!どこ?!
ホルホース:反対がわの階段から上に昇ってやがる!
 ミドラー:あんた目がいいのね。
ホルホース:2・5でさぁ!
 ミドラー:どこで測ったのよ、その数字!


大騒ぎしながらまた一階のフロアへ!
花京院が困ったようにこちらを見ている。


ホルホース:こっちに来ませんでしたか?
  花京院:あそこに居る。僕のハイエロファントでは届かない・・。
ホルホース:しとめるッ!


エンペラーを構え、遠くのアレッシーに照準を合わせる・・。
引き金を引いたその瞬間、人込みにまぎれるアレッシー!


 ミドラー:他の人に当たるわ!
ホルホース:やりにくいな・・


弾丸がフッと音もなく消える。


  花京院:こう言うとき、スタンドって便利ですよね。
ホルホース:アンタ、子供にされてる割にのんきだな・・。
  花京院:考えようじゃないかな。スタンドの能力が途切れれば元の姿に戻れる
      実際僕が標的になっているわけでもなさそうだし・・。
ホルホース:なるほどね・・。
 ミドラー:どうすんのよ!行っちゃうわ!
ホルホース:ちょいと失礼してもいいかな、社長さん。
  花京院:好きにしていいよ、僕が戻れるなら。
ホルホース:んじゃありがたくッ!


そう言うが早いか、店舗の看板の上にひらりと飛び乗る。
横向きでかたひざをつき、ぴたりと構えを取る。


ホルホース:届くか・・・・・っ?!


ホルホースの腕が、反動で浮き上がる。
発射された弾は、一直線にアレッシーの元へ!
カエルのつぶれたような声が、遠くから聞こえた。
アレッシーに当たったらしい。


ホルホース:・・・・・・っ、見えねえ・・
 ミドラー:どう?!
ホルホース:手応えはあったが・・。
  花京院:あ・・・。
ホルホース:おっ!
 ミドラー:きゃ・・!


花京院の体がみるみる元に戻っていく。


  花京院:どうやら仕留めたようですね。
ホルホース:お目でとさん!あとは・・・・・ん??
 

突然のアナウンス。ピンポンパンポーン。
「ただいまより、年末決算バーゲン大安売りを開始致します
どうぞ、ご活用くださいませ。」


ホルホースと、ミドラー、顔を見合わせて・・・
目をぱちくりさせたその瞬間!


どどーーーーーーーーーーッ!!

店の入り口からおばさんの大群が押し寄せる!!!
苦笑いの花京院。呆然としているミドラー。
梁の上でやれやれのポーズを取るホルホース。
当然アレッシーの姿は見えない。
近寄ること?不可能と言っていい。
戦車の前に三輪車で突っ込むようなものだ。


ホルホース:アレッシーも轢かれたかもな・・。
  花京院:相変らずスゴイね・・。
ホルホース:アンタ、知ってたのかい?この大群のこと。
  花京院:毎年の事だから・・・・間に合うかなと思ったんだけど・・。
ホルホース:しとめたはいいが・・・こりゃ・・・・くっくっく・・・
 ミドラー:笑い事じゃないでしょー!
ホルホース:こんな、漫画みたいな状況始めて見たんで・・
 ミドラー:まあ・・・たしかに・・・・
  花京院:おばさんの大群を見る機会なんて・・
ホルホース:そう滅多にないぜー!!はっはっははははは!
 ミドラー:ぷっ・・・・私まで笑っちゃうじゃない!
ホルホース:さて、笑ってる場合じゃねえか!
      アレッシーのヤツがどうなっているかが問題だよなっと。
 

そう言って、梁の上から飛び降りるホルホース。
大群が下火になるのを待って、近づいてみる。


ホルホース:さすがに・・・いねえか・・。
 ミドラー:弾は当たったんでしょ?
ホルホース:どこに当たったかが問題でね・・。
      いないところと・・血痕がないところを見ると・・。
 ミドラー:ろくな所に当たってないってことね。
ホルホース:まったく、デパートとは相性があわねえや。
 ミドラー:はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。
ホルホース:もう一度で直しましょうか、お嬢さん。
 ミドラー:アンタ、タフねェ・・・。
ホルホース:切り替えが早いだけですよ、さて、J・ガイルに文句言ってこなきゃな。
 ミドラー:え?誰?
ホルホース:J・ガイル。さっきの情報もそこで仕入れたんですよ。
 ミドラー:文句って?
ホルホース:上手く行かなかったのは、アイツのせいでもありますからね、
      もう少し情報を頂かないことには割があいませんや。
 ミドラー:しっかりしてるわ・・・アンタ・・・
ホルホース:お褒めに預かり光栄!っと、社長さん!
  花京院:はい、なんでしょう?
ホルホース:色々とサンキュー!今度服を見に来るよ。
  花京院:では、お客様用にコーディネートしておきましょう。
ホルホース:カッコ良く頼むぜ。
  花京院:当然です。
ホルホース:では、参りましょうか、お嬢様。
 ミドラー:はいはい、まったく・・アンタって不思議なヤツだわ・・。


デパートを出、向かいの飲み屋へ入る二人。

そこには新たなる物が待っていた。

                                    
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