ご近所ジョジョ物語
第3話・ラバーソール

                       

夜の町。ネオンがきらめく。
殺風景な小さな繁華街。そこの中ほどに、その店はあった。
CLUB オシリス。
DIOはその看板をみとめると、躊躇無く扉を開けた。


ダニエルTダービー:すみません開店まではまだ・・・・。
      DIO:客に見えるか?
     ダービー:ん??アナタは・・・??
      DIO:花京院から話が来てるはずだが・・。
     ダービー:ええっ!?と言うことは貴方がDIOさんですか。
      DIO:ああ・・・・いや・・・はい。
     ダービー:イヤーン!いい男じゃない!
      DIO:・・・え?
     ダービー:話には聞いてたけど・・・
          ううん、やっぱりいいわぁ。どうぞどうぞ奥の部屋へ!
      DIO:・・・オカマ・・・????


花京院から紹介された店は、確かにここだった。
マネージャーが変わった人だよ、とは聞いていたが・・・まさかオカマとは・・。


     ダービー:では、2.3お聞きしますがいいですか?
      DIO:いいだろ・・・いや・・はい。どうぞ。
     ダービー:こういう仕事は始めて?
      DIO:はい。
     ダービー:もし仕事するとしたら、毎日入れる?
      DIO:夜ならいつでも。
     ダービー:はっはっは。大丈夫ですよ、ここはいつも夜ですから。
      DIO:そういえばそうだな。
     ダービー:あ、申し送れました。私がダニエル・T・ダービー。
          ここの事実上の責任者です。
      DIO:DIOだ・・・・いや、DIO・です。
     ダービー:んじゃ、休みは週に一回でいいかね?
      DIO:なくていい
     ダービー:そりゃたのもしいですね。でも始めは疲れますから。
          じゃあ、とりあえず今日から入れますか?
      DIO:そのつもりで来ているのだが・・。
      ダービー:それは有り難い。


話はとんとん拍子に進んでいった。
店内を見渡すと、豪華な飾り付けがしてある。
すべてイミテーションだというのはDIOには分かったが。
他の男達が忙しそうに開店準備をしている。
と言っても掃除ばかり。
黄色のスーツを着た男が、こちらをじっと見ていた。


      DIO:・・・・・・。


つい、じっと見返してしまう。
男が、こちらにゆっくりと歩いてきた。
オールバックにした髪が、黒くうねっている。
細身の体が、DIOの前に立ち止まった。


        男:新入りかぁ。
      DIO:そう言うことになるな・・。
        男:実力が物言う世界だぜ。まあせいぜい頑張りな。
      DIO:実力か・・。
        男:俺はラバーソール。ここでは一番長い。
      DIO:そうか・・・俺はDIOだ・・。
   ラバーソール:ダービー、こいつは今日はどうするんだ?
     ダービー:今日から入ってもらおうと思っているんだが。
          ラバー、頼めるかね?
   ラバーソール:いいぜ、今日は俺がおしめしてやっか??ぎゃははは!。
     ダービー:また汚い口をきく。
   ラバーソール:ち・・ったく、そうそうお耽美な口きいてられっかよ。
     

ラバーソールはそう言うと、なぁ、と言ってDIOに笑いかけた。
人を小馬鹿にしたような、それでいてひとなつっこい笑い。
不思議な男だ。口は悪いが。 
言われるままに服を着替える。深緑のシャツに、光沢のある黒いスーツ。


      DIO:えらい趣味だな・・・。
   ラバーソール:はっはっは!それ実はダービーの服なんだぜ?
     ダービー:趣味が悪いですか・・。
      DIO:え?!い、いや・・
   

他のスーツ姿の男が何人か集まってくる。
互いに挨拶を交わす。当然DIOとも。
言われるままに仕事をする。テーブルをふく。灰皿を磨く。


   ラバーソール:DIO・・・あんた、いいとこのおぼっちゃんかい?
      DIO:そうだったこともある。
   ラバーソール:やっぱな。ここではへつらうのが仕事だ。
          お高く止まってると的にされるぜ。
      DIO:おたかく・・??そうみえるか。
   ラバーソール:そのままじゃされるだろうな。されたいか?
      DIO:構わん。どうどいうこともない。
   ラバーソール:ここではチームワークが必要なんだよ。
      DIO:一番嫌いなものだ。
   ラバーソール:あまったれんじゃねぇ。
      DIO:なに・・・?


ラバーソールの手が、DIOの肩をつかむ。
そのままぐいっと引き寄せられ、間近で睨みつけられる。


   ラバーソール:仕事だ。わかるか?お前一人じゃなにも出来ねえんだよ!
      DIO:・・・・・・・・。


初めての経験だった。他人に注意を受けるなんて。
殺そうかとおもった。殺気をぶつけてやれば、
こいつがひれ伏すのは目に見えて明らかだ。
だが、その考えはそこで立ち切られた。


   ラバーソール:お前、俺とおんなじだな。
      DIO:え・・・・??
   ラバーソール:いや、なんでもねェよ。
      DIO:・・・変なやつだな
   ラバーソール:まあ、気に病むこともねえか。
          ここはそんなに混む店じゃないからなぁ。
      DIO:ここは?
   ラバーソール:ああ。俺はここ以外でも働いてる。
          そこと比べりゃむちゃくちゃ暇だぜ?
          もともとここはダービーのやつが、
          趣味で始めた店だからなぁ、なあ、ダービー?!
     

そう言われて、遠くのほうからダービーの声が返ってきた。


     ダービー:ええ??なーーーーにーーーーー???
   ラバーソール:DIOが愛してるってよーー!
      DIO:はぁ??!!何を言って・・
     ダービー:ありがとーーーあたしも愛してるわよー
   ラバーソール:な。
      DIO:何が、な。だ・・・・まったく・・。
   ラバーソール:さて、本番だぜ、DIO。


店が整い、扉が開かれる。
突然変わる雰囲気に圧倒される。
さっきまでの店内とはうってかわって、豪華さが満ち溢れる。


      DIO:これが・・・ホストクラブか・・。
   

そこそこの金持ちそうな年増の女がパラリパラリと入ってくる。
店内は、そう広くは無い。
女が10人も入れば席は埋まってしまうだろう。
それに対しての男は、DIO,ラバーソールを含め、6人。
まじまじと見ていると、ダービーに肩を叩かれた。


     ダービー:いいですか、ラバーに色々きいてください。
          なんとかなるものですからね。
      DIO:わかっている・・・。
   ラバーソール:おい!行くぞDIO。ご指名だ。
      

席につき、挨拶をし、他愛ない会話が始まる。
金髪のDIOには興味があるらしく、女共が向こうから話し掛けてくる。
それに答えながら、ラバーの様子を盗み見る。


   ラバーソール:僕は女性のためならなんだって出来ますから。
       女1:あら〜だからラバーちゃんって好きよ〜。
   ラバーソール:そんな好きだなんて・・恥ずかしいです・・。
       女1:うふふふ、可愛いのね。ねえ、お酒をついでちょうだい。


横目で見ながら、苦笑する。
そうか、こういうものとはな。
このDIOにあれが出来るかどうか・・・。無駄な話だが。
そう思ったそのとき。
扉が開いて、大量の女がなだれ込んでくる。


       女達:本当にDIO様がいらっしゃるわ!
          お会いしたかったです、DIO様〜!!


口々にそう言ってDIOの周りを取り囲む。
もともとDIOの館に、取り巻きとしてはべらせていた女達だ。
唖然としているラバーソール。
慌てふためくダービー。
溜め息をつくDIO。

   
      DIO:お前達・・・何故ここが・・??
       女達:ヴァニラアイス様に教えていただいたんです。
      DIO:・・・・っ・・。アイスめ・・。
    

異常なまでにその日の仕事は忙しかった。
終わる頃には、言葉より先に溜め息が出るくらいに。


     ダービー:本当にびっくりしたよ・・。
   ラバーソール:し・・死ぬかと思った・・。
 

他の男達もそれぞれ客席に埋もれている。


     DIO:迷惑だったか。
    ダービー:いや、嬉しい悲鳴だがね…。それにしても、君は何者なんだい。
     DIO:自分でもわからん
    ダービー:え・・? 
     DIO:・・・・・・
  ラバーソール:そういや、ダービー、アイツは今日は・・。
    ダービー:今日は来ていないんだ。まったく…無断欠勤なんて。
     DIO:アイツ?
  ラバーソール:ああ。あの馬鹿やろう。いいかげん首になんぜ・・。
    ダービー:・・・仕事も出来ないし・・。いいかげん考えますかね・・。
     DIO:どんなやつだ?
  ラバーソール:名前はアレッシー。このクラブのオチこぼれさぁ。



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