ご近所ジョジョ物語
第5話・標的

                       


倒れていたJ・ガイルがゆっくりと置きあがり、デーボに笑いかける。


J・ガイル:やってくれましたね・・・旦那・・。
  デーボ:自業自得だろうが
J・ガイル:あんたが素手で殴るだなんてねェ・・。驚いたよ・・。
  デーボ:・・・・・・・。
J・ガイル:知らないぜ?あんた、指名手配されちまうかもなァ?
  デーボ:・・・・・・・。
J・ガイル:追われて、朽ち果てて終わりかい?ケッケッケ・・。
  デーボ:殺すぞ・・・てめぇ・・・・。
J・ガイル:出来るならやってみな?あんたは血に飢えたバケモンだからなァ?
  デーボ:・・・・・・・ッ・・。
ホルホース:いいかげんにしろよ・・この腐れ外道
J・ガイル:どうしました?お怒りのご様子で??ケッケッケ・・
ホルホース:ち・・・・相変らずキタネェ野郎だな・・。
J・ガイル:それは誉め言葉ですねェ。


立ったままのホルホースに、ミドラーが小声でささやく。


 ミドラー:話があるの・・・表に出ない?
ホルホース:え?・・・・ああ・・。分かった・・。
      おい!J・ガイル、調子に乗るのもその辺にしとけ。
      本気で殺されてからじゃ遅いんだからな・・・・。
J・ガイル:へえへぇ。脅しですかい、止めてくださいよ?
ホルホース:ちょっと出てくる・・・・また来るからな?


ミドラーとともに出ていくホルホース達。
後に残されたのは、いくらか乱れた店内と、
顔の腫れたJ・ガイル、立ち尽くしているデーボ・・。


  デーボ:・・J・ガイル・・。
J・ガイル:怒らないでくださいよ?お互いのためですからねェ?
  デーボ:・・・もう・・・・いい。
      さっきの、殺しの相手を教えてくれ
J・ガイル:へっへっへ・・・そうこなくっちゃデーボじゃねェ。
  デーボ:無駄口はいい。標的を教えろ。
J・ガイル:へいへい・・こいつでさァ・・。


書類を受け取り、目を通す。
標的の写真と概要のみ。

 
  デーボ:情報がすくねぇな・・。
J・ガイル:あんた、まさか、そいつを知らないのかい?
  デーボ:・・・・有名人か?知らん・・。
J・ガイル:名は、花京院典明。花京院ブランドの若社長さ。
  デーボ:19でか?
J・ガイル:いろいろなやつがいるもんさね。
  デーボ:殺せば・・いいんだな・・。
J・ガイル:いつも通りに殺ればいいんですよ・・・・旦那。
  

デーボは答えなかった。いつも通り。
変わらない。その通りだ。いつも通り・・。


J・ガイル:自信が無いんじゃないでしょうねェ?
  デーボ:余計な口をきくな・・。
J・ガイル:確実に仕留めてくださいよ・・・・
      バラバラで構いませんから・ねェ?ヒーッヒッヒッヒヒ・・。
  

口をつぐんで、カウンターに腰掛ける。
こんなヤツと何時からこうして話せるようになったんだろう。
ここはどこだろう・・。いまいる俺は・・・何者なのだろう・・。
ゆっくりと目を閉じる。
今なら・・死んでもいいとさえ思った・・。


  デーボ:帰る・・。またな・・。


やっとのことでそれだけ言い放つと、無造作に書類をコートに押しこみ、店を出る。
エボニー人形が無表情に夕方のネオンに照らし出される。
暗い、夕日。


  デーボ:殺す・・・・・・花京院・・・・・・。


自分に何度も言い聞かせる。殺せ・・殺すんだ。
いつものように、切り刻むんだ・・・。もう、誰も、いないから・・。殺せるはず・・。


デパートのほうが、見られなかった。

                               
 NEXT