ご近所ジョジョ物語
第4話・ホルホースの教え〜無駄なあがき

                       

場所は変わってJ・ガイルの飲み屋。
デーボがカウンターで静かに酒を飲んでいる。


 J・ガイル:あんたもあいかわらず無口だねェ。
   デーボ:うるさいよりは良いだろうが
 J・ガイル:ヒッヒッヒ。それはそうとここに来たってコトは・・。
   デーボ:・・・・・。
 J・ガイル:仕事なら入ってるぜ?
   デーボ:・・・・・どんなんだ?
 J・ガイル:別にどうってコト無い相手さぁ。相手はガキだぜ。ヒッヒッヒ。
   デーボ:報酬は?
 J・ガイル:殺して200万だ。
   デーボ:普通の人間相手にその値段は高いな・・裏があるんじゃないのか?
 J・ガイル:さぁねェ。そこまでは知らんよ。
      引き受けるのかい?それとも手が出せないかい?
   デーボ:相手の資料をよこしな。
 J・ガイル:そう来なくちゃなァ?せいぜい残酷に殺してやれよ?


そう言って、甲高い声で笑うJ・ガイル。聞こえないフリをして酒をあおる。
デーボはこの男が嫌いだ。自分に似ているから。
J・ガイルが、資料を渡そうとしたとき、扉が開いた。
暗い店内に、西日が突き刺さる。ホルホースと、ミドラーだ。

ホル・ホース:ん?デーボの旦那じゃないですかぃ?
   デーボ:・・・・・ホルホース・・・・か・。
ホル・ホース:景気はどうだい?
   デーボ:・・・・まあまあだ。
ホル・ホース:こっちもさ。まったく・・・・時間がねぇってのに・。
  ミドラー:どこ行っちゃったのかしら・・情報って間違いないんでしょうね?!
 J・ガイル:人聞きの悪いことをおっしゃる。これでも商売ですよ?ねぇ?
ホル・ホース:どこかですれ違っちまったか・・。まったく・・・
   デーボ:・・・・・ついてないときもあるもんだぜ?
ホル・ホース:ン〜??なんだかデーボらしくない言葉だな?なんかあったか??
   デーボ:い、いや。別に・・。
ホル・ホース:なんかあったな〜??
   デーボ:ねえよ!
ホル・ホース:いや〜。決まりだな。女だろう。
   デーボ:・・・・だからお前は嫌いなんだ・・。
ホル・ホース:と言うことは、ドンピシャだな。へェ〜、とうとうあんたもねェ?
   デーボ:そうと決まったわけじゃない!
ホル・ホース:んなこと言ってるから、いつまで経っても一人モンなんだよ。
       気に入った女が出来たら、口説き落としてこそ、男ってモンだろうが?
  ミドラー:割り込むようだけど・・。口説くにも顔が雰囲気違うわよ。
   デーボ:初対面で良いこと言ってくれんな、この女・・。
ホル・ホース:(笑いながら)今回の俺の依頼者、ミドラーお嬢様だ。
   デーボ:女好きが・・。
ホル・ホース:遊び人と言って欲しいね?んで、どうなんだ?上手く行ってるのか?
   デーボ:そんなんじゃねぇって言ってるだろう?
ホル・ホース:そうかぁ!一目ボレか!はっはっは、若いねェ!
  ミドラー:顔の割に可愛いのね。
   デーボ:・・・・・・・馬鹿野郎どもが・・。


ひっきりなしに三つ編みをいじっているデーボ。


ホル・ホース:あんたは照れると、三つ編みをいじくりまわすからな。
       すぐに分かる。
   デーボ:(言葉に反応して、いじくるのを止める。)・・・・・・・・。
ホル・ホース:まあ、何でも経験さ。好きなら好きで良いんじゃないか?
       俺が言うのもなんだが、人を好きになるってのは良いもんだぜ。
       あんたはどう思ってるか知らんが、
       どう見てもアンタ、恋してるヤツの顔してるぜ?、今。  
   デーボ:恋してるやつの、顔・・。自覚はしてないんだが・・。
  ミドラー:しなさいよ。あたしから見ても、そう見えるもの。決定よ。
   デーボ:あんたから見ても?
  ミドラ−:そうよ。怖い顔だけどね(笑う)
ホル・ホース:恋しても気づかないフリしてたらいつまでたっても始まらないぜ?
  ミドラー:そうよ。振られてもともとよ。
   デーボ:・・・・アンタ・・いちいち引っかかる言い方するな・・。


そこで話は終わり、デーボは肩肘を突いたまま動かなくなる。
ずっと、その様子を見ているJ・ガイル。
ひっきりなしに、ガラスのコップに爪を立てている・・。無表情で・・。 


そこへまた西日の強い光が刺しこむ・・・!
扉が開いて・・・そこからは・・・・・。
何気なく振り向いたデーボの顔が驚愕する。
そこには、先の女子店員の姿が・・!


  女子店員:あ・・・!デーボ様、よかったです!
   デーボ:あ・・・は???な、なにか?!
  女子店員:はい、こちらを落とされたようなので、お持ちしました。


見ると、女子店員の手の中には、エボニー人形の帽子の羽根飾りが・・。


  女子店員:これ、エボニーちゃんのですよね?
   デーボ:は・・はい・・。わざわざ??
  女子店員:これがないと寂しいでしょう?エボニーちゃんも。(微笑む)
   

デーボ、羽根飾りを受け取る。下を向いたまま・。
ホルホース、その様子を見ながらニヤニヤとしている。


  女子店員:では、失礼します。またいらしてくださいね。デーボ様。
 J・ガイル:お嬢ちゃん、デーボのだんなの知り合いかい?
  女子店員:あ、すみません突然お邪魔してしまって・・!
       わたくし、セイベデバートの社員で、音羽 鈴(おとわ すず)
       と言うものです。
 J・ガイル:この旦那が気に入ったかぃ?
     鈴:え・・?そんな・・・デーボ様は大切なお客様です・・・。
 J・ガイル:やめといたほうがいいと思うがねェ〜??この旦那は・・  
   デーボ:・・・・・おい!
 J・ガイル:この旦那は、殺し屋ですぜ?ねェ?旦那ァ????ヒッヒッヒ!!
   デーボ:・・・・っ!!!
     鈴:殺し・・・え?ご冗談を・・。
 J・ガイル:この可愛い人形を使って、人殺しをするんですよ〜〜!!!
       出来る限り残酷にねェ?!
   デーボ:・・・・!!J・ガイル・・!!テメエl!!
     鈴:そんなことありません!エボニーちゃんは可愛いお人形さんですし、
 J・ガイル:狂った殺戮人形だよ。そして旦那も、なァ? 
     鈴:デーボ様は、いいお方です!
   デーボ:・・・・・・・。
     鈴:悪ふざけもいいかげんにしてください!いくらなんでもひど過ぎます!
 J・ガイル:悪ふざけか・・・どうか・・。本人に聞いてみたらいかがでしょう? 
   デーボ:・・・・・・・。
 J・ガイル:それとも、この旦那が気に入ったかい??
     鈴:デーボ様は・・・・・えっと・・・・
       あの・・・・・素敵な方です・・。
      (そう言って、顔を赤らめる)
ホル・ホース:なぬぅ??!!
     鈴:おかしいでしょうか?
 J・ガイル:ハァッハッハッハッハ!!こりゃいいや!
       このお嬢ちゃん、呪いのデーボが好きだってよ!!
   デーボ:テメエ、いいかげんにしろ!!!


立ちあがり、J・ガイルに掴みかかるデーボ。


 J・ガイル:これがこの男の本性さ!3日に一度は切り刻んでるヨォ〜ッ?!
       どうする?お嬢ちゃん、警察に訴えなくっちゃならないねェ〜?
   デーボ:J・ガイル・・・何のつもりだ?!
 J・ガイル:デーボの旦那・・。
       あんまり浮かれたことされちゃ〜困るんですよねぇ。
       こっちも殺しの仲介で食ってるんですからねェ・・。
       請負がいないと仲介も成り立ちませんから・・。
       女にかまけていられても困るんですよ・・・。そうでしょう?ヒッヒッヒ・・。
     鈴:・・・・・・デーボ様・・・・・・。本当なんでしょうか・・・・。
   デーボ:・・・・・・っ・・・・・(目をそらしてしまう) 
     鈴:・・・・・・。 
 J・ガイル:さて、後始末はご自分で、デーボの旦那。
   デーボ:・・・・・・何?
 J・ガイル:知られて、このまま返すつもりですかぃ?ねェ?旦那?
   デーボ:テメエがかってに・・・!
 J・ガイル:口封じは何がいいでしょうかね?
       さあ、いつものように切り刻んで見せてくださいよ・・。
     鈴:本当・・なんです・・か?私は・・・い・・嫌です・・!
   デーボ:・・・・・帰れ・・。あんたの居て良い場所じゃない・。
 J・ガイル:帰る?まさか・・・そのまま返すわけには行きませんよねぇ?!!
     鈴:か・・・帰ります・・!デーボ様、信じられません、分かりません!!


出ていこうとする鈴に向かってJ・ガイルの嘲笑が響く。
ガラスの中で、ハングドマンの刃がきらめく・・・!
ガラスに映る鈴の首元へ・・それが触れ・・・・・・!  
ホルホースが瞬時に立ちあがり、エンペラーが光り、その指が!


ゴキッ!・・・鈍い音が響く。


鈍い音とともに、J・ガイルの体が吹っ飛ぶ。
デーボが、握りこぶしを震わせている・・。
唖然として立ちすくむホルホース。
無表情にそれらを見ているミドラー。
逃げるように出ていく鈴。



   デーボ:お前に言われなくても分かっている・・
       俺が、恋なんて・・・出来ない、腐った化け物だってことはな・・。
       分かっている・・・・・・・・分かっているんだ・・・・っ・。
       死に腐れ・・。外道が・・。(うつむいて力無く手を下ろす)

                     
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