ご近所ジョジョ物語
第3話・人形は?

                       

 デーボ:!!!!!しまった!

突然そう叫ぶとくるりときびすを返す。
ずかずかとさっきの婦人服売り場まで・・・
周りを見まわし・・・


 デーボ:恥ずかしいもんだな・・この年齢でデパートなんて・・。
    ち、どこにおいてきちまったんだ?
    

デーボが探しているのは、エボニー人形。
さっきの騒動で、どこかに忘れてしまったらしい。


 デーボ:・・・・小さいから見つけづらいか。しかたない・・
    

そうつぶやくと、右手をゆっくりと上げ、胸のあたりで握り締める。


 デーボ:どこだエボニー?
    しかたない・・ちょっと気が引けるが・・・


目を見開く!その瞬間、子供の奇声が・・!
まさにその声はデーボの化身、エボニーデビル!
右後方で高く飛びあがって奇声を発している。
と、ともに、女性の声。


女性の声:わー高い高い!凄いねボク〜!
 デーボ:・・・・・??????
エボニー:アンタ、ダレ〜!?
女性の声:お姉さんはここのお仕事をしているんだよ〜。
 デーボ:あ、さっきの・・・・


近くまで来てみると、さっきかばってくれた女子店員が
エボニーを見てにこにこしている。
デーボが近づいて来たのにきづいた女子店員が向き直る。


女子店員:あ、いらっしゃいませ!申しわけありません気づかなくて・・。
 デーボ:いや、・・・あの・・。
女子店員:?


エボニーが飛び跳ね、デーボの手の中に納まる・。


女子店員:あ、もしかしてお父さんですか?
 デーボ:へ?!!お、お父さん?!・・・いやぁ・・。
女子店員:良かったね〜ボク〜!
 デーボ:いや、違う・・・これは、俺の・・
女子店員:可愛いお子さんですね!
 デーボ:人形なんですが・・・。
女子店員:・・・・・えええ〜っ?!!でも動いてますよ?!
 デーボ:あ、はい・・。


頭を掻いているデーボ。
別に、こいつに話しても面倒はないが・・。


女子店員:わかった!今流行りの人工知能ですね!
 デーボ:いや・・・知能は天然なんですが・・。
女子店員:天然なんですか?
 デーボ:そう・・・そう!俺は、人形遣いなんですよ。
女子店員:人形遣い・・。わかりました!腹話術師さんですね!
 デーボ:はぁ・・・・またちょっと違うんですが、そんな所です・・。
女子店員:すごいです!では、この子も動かしてらっしゃったんですね!
 デーボ:あ、まあ・・。まいったな・・。


嬉しそうな女子店員を前に、困り果てているデーボ。
さっきから、しきりに三つ編みをいじくりまわしている。


女子店員:私お人形だいすきなんです。
 デーボ:はぁ・・・・
女子店員:この子はなんてお名前なんですか?
 デーボ:エボニー・・・・・です。
女子店員:可愛いですね!エボニーちゃん、よろしくね〜☆
 デーボ:・・・・・・怖く・・・・ないんですか。
女子店員:え?何がですか?
 デーボ:この人形も・・


俺も、といいかけた言葉を飲みこむ。ここで深入りしてどうなる。
殺し屋が人が喜ぶのを見て嬉しくてどうする。


女子店員:お客様のお名前をお聞きしても?
 デーボ:・・・・・デーボ・・・。

つい答えてしまったデーボを見て、女子店員はにっこりと笑った。


女子店員:デーボ様がお使いになっているお人形さんです。
     もちろん、可愛いですよ。
 デーボ:!


ここまでいうと、次に来たお客を見つけて、
女子店員はデーボに軽く会釈をすると、
ちょっとすいません、と、離れていった。
唖然としたまま動かないデーボ。しばらくして、やっと一言。


デーボ:変な女・・・。


そう言ってエボニーを抱き上げ、ちらりと彼女を見、
そっとそこから離れた。少し、笑みがこぼれた。

                             
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