ご近所ジョジョ物語
第10話・融合
病院はこざっぱりとしていた。 っていうより、何も無かった。 そこに白衣を来た男が居なければどう見ても病院には見えない。 白衣を着た男:あ〜あ〜、またハデにやられたのぉ・・。 デーボ:あんたが先生・・か・・ 白衣を着た男:はっはっは、そんなに構えるな。ワシはジョセフ。 あんた、推察するに、殺し屋をやっておるな? デーボ:・・・だから・・なんだ・・・・ ジョセフ:別に何をやっていようがワシには関係無いがな。 ワシはただ、治療をするだけじゃ。OK? デーボ:OK・・。 鈴がいたわる様にくっついている。 それを見て、微笑むジョセフ。 ジョセフ:良い娘さんじゃないか。 鈴:そ・・そんな・・恥ずかしいです・・。 デーボ:・・・・・・・ ジョセフ:照れるな照れるな。さて、傷を見せてくれ。 いわれるが侭に、膝や、エメラルドを食らった箇所を見せる。 ジョセフ:・・あんた。たいしたもんだのう。 デーボ:なにがだ? ジョセフ:これだけ傷があって、立っていられるのか・・・・? デーボ:この程度なら慣れている。 ジョセフ:すでに傷が塞がりかけているじゃないか・・。 傷を珍しそうにまじまじと見ているジョセフ。 それと一緒に鈴も見ている。 鈴:うわぁ・・・本当ですね・・! 昨日の今日でここまでふさがるなんて、はじめてみました・・・! ジョセフ:あんた、看護婦かい? 鈴:あ、はい。昔・・でも、デーボ様、すごいです。 ジョセフ:うむ、これならすぐに直ってしまうじゃろうな。 ジョセフと鈴に、傷を見られてなんだか落ちつかないデーボ。 やたらとあちこちを見渡している。 デーボ:おいおい・・・見世物じゃないんだ、いいかげんにしてくれ。 鈴:にゃ!ごめんなさい、デーボ様!つい、見入ってしまいましたぁ・・。 ジョセフ:んじゃ、ちょいと注射しておくかな。 そう言うが早いか、デーボの腕に注射針をつきたてる。 ジョセフ:ほい、いっちょあがりィ。後は体を休めとけば直るじゃろう。 鈴:も、もう、いいんですか? ジョセフ:こういう治癒能力の強いやつはそれに従ったほうがいい。 下手に治療行為などしたら、逆にその治癒能力がそがれてしまうからな。 鈴:あ、有り難うございます、先生。 ジョセフ:まぁ。そこで休んでいけ。わしはちょっと寝るからな。 そう言うと、奥の部屋に引っ込んでしまった。 二人きり、取り残されるデーボと鈴。 鈴:・・・変った先生ですねぇ・・。 デーボ:まったくだ・・。 鈴:でもよかったです!デーボ様、もう平気なんですね。 デーボ:少し眠いくらいか・・・・・。 鈴:寝ますか? デーボ:いいや。・・・・・ ベッドのふちに座ったまま、デーボと鈴が無言になる。 鈴が、こてん。と、デーボに寄りかかる。 デーボ:あんた・・ 鈴:鈴って呼んで下さい、デーボ様。 デーボ:す・・・鈴・・・・・・さん・。 鈴:はい。 デーボ:俺は・・・・殺し屋を続けない限り、食っていけないと思っている。 鈴:・・・・・ デーボ:子供のころに、喧嘩ばかりして・・ 一人で大勢を相手にするって言う馬鹿なことをやったことがあった。 鈴:一人で大勢を? デーボ:血気盛んだったんだな・・。で、当たり前の様に逆にボコボコにされた。 鈴:・・・ デーボ:俺の家は兄弟が多かったからな。 多分親の愛欲しさに気を引いたつもりだったんだろうな。 鈴:愛・・・ デーボ:それで、そのときの喧嘩で、からだ中に傷が残っちまった。 気味悪がられたよ。顔半分なんかケロイドみたいだったからな・・。 話し続けるデーボの手をいたわる様に鈴の手が包む。 やわらかくて暖かかった。 デーボ:今はほとんど直ったが・・。だがそれ以来、 どこに行っても受け入れられなかった。 世間なんてそんなものだったんだなと、嫌になって・・ 鈴:でも、ご家族の方が・・ デーボ:親にも受け入れられなかったんだ。 もう見たくないといって、罵られたよ。 鈴:そんな・・・・ デーボ:今考えると親だって人間だ、認めたくないコトだってあらぁな。 で、勘当されたよ。 鈴:それでこちらに・・・? デーボ:そうだ。 鈴:もともとは・・・ デーボ:北海道。あそこからこの栃木まではるばる逃げて来たって訳だ。 鈴:寒いところですね、北海道は・・。 デーボ:俺にとっては、かなり寒いところだったよ。 鈴:戻る気は無いんですか? 鈴にそう問われて、絶句するデーボ。 何度か口を開きかけて、やっと溜息混じりに言う。 デーボ:・・戻ったほうがいいんだろうが・・・多分人手も足りないだろうし・・。 鈴:人手? デーボ:俺の実家・・・ここだけの話だぞ、誰にも言うなよ? 鈴:はい・・? デーボ:・・・・牧場やってるんだ・・(うつむく) 鈴:素敵じゃないですか。 デーボ:んで、観光用ホテルとか経営までしやがって・・。 鈴:す、すごいじゃないですか! デーボ:だから忙しい親なんだ・・。子供なんか構ってる暇無かったみたいだ。 鈴:子供・・・・。 ふと気付いた様に、鈴が黙り込む。 うつむいてしまって、顔をあげない。 シーツの端っこをモニモニと弄繰り回している。 デーボ:・・・・?なんだ?子供がどうか・・・ 鈴:えっと・・・ずっと気になってたんですが・・・ デーボ:なんだ? 鈴:あの・・・ずばり聞いていいですか? デーボ:ああ。なんだ?言ってくれ、こっちも気になる。 鈴:あの・・・・デーボ様って・・ば、バツイチですか!!? デーボ:はぁ?! 素っ頓狂な声をあげて鈴を見る。 鈴は大真面目な顔だ。 デーボ:ななななな、なんで?俺、そう見えるのか?ショック、でか・・ 鈴:ええッ!?違うんですか?? デーボ:俺は未婚だぜ・・・・ 鈴:じゃ、じゃあ・・・お子さんだけ押しつけられちゃったんですか・・? デーボ:は?お子さん?なに?お子さんて・・・・・ 鈴:デーボ様そっくりのお子さんが・・・あれ・・?いないんですか? デーボ:俺は子供なんて・・・あ・・・まさか・・・あれ・・ そう言えばそうだった。 鈴に始めて出会った時は、アレッシーに子供にされていたんだった。 鈴が勘違いするのも仕方ない。 鈴:じゃああの子は・・・。 デーボ:あれは・・すまん・・俺・・・だ・・・。 もじもじと、三つ編みをいじくってしまうデーボ。 デーボ:他のスタンド使いに・・相手を子供にする能力があるヤツがいて・・。 鈴:子供にする?!スタンド使いさんてそんなことも出来るんですか?! デーボ:そうだ・・だから・・・ 鈴:デーボ様・・・・ デーボ:あれは俺で・・ 鈴:よかった〜〜〜!! デーボ:へ? 鈴:鈴は、もう自分が不倫しちゃってるのかと思いました! デーボ:ふふふふふ、不倫ッ!? 鈴:はい! デーボ:だ、大胆な発言をするんだな・・鈴さん、あんた・・意外と・・。 鈴:じゃあ、正式に申し込んでも良いんですね? デーボ:ん?なにをだ? 鈴:鈴と、恋していただけませんか? 優しい瞳。まっすぐに、見つめられて、その言葉を聞く。 鼓動が早くなる。 初恋の様に。 それがなんだったのかも忘れていたのに。 鈴:ちゃんと言ってなかったので、改めて言ってみました・・・ デーボ:お・・・驚いた・・・本当に・・。 鈴:・・・・デーボ様・・・ デーボ:・・・・・俺なんかで・・・よければ・・・いいのか? 本当に・・?後悔するぞ? 鈴:しませんっ! 楽しそうにそう言うと、デーボの腕に自分の腕を絡ませる。 困って横を向いてしまうデーボに微笑みかける。 デーボ:・・一つ、問題が・・。 鈴:はい? デーボ:殺し屋を続けられるのは嫌か? 鈴:・・・・ 現実に引き戻される。 鈴の腕に力がこもる。 デーボ:これ以外で、どうやって生きていっていいのか、考えられないんだ・・。 鈴:デーボ様ご自身は、続けたいんですか・・? デーボ:いや。そうは思っていない。鈴さん、あんたはどう思っている? 鈴:・・・・嫌です・・。 デーボ:んじゃ、やめた。 鈴:ええ?そんなに簡単に決めちゃって・・ デーボ:いい。俺が出来ることが見つかったからな。 鈴:え・・? デーボ:あんたの笑顔を守りたい。 鈴:デ・・デーボ様・・・・ デーボ:・・って・ガラにもねえこと言ったら気持ち悪ィな・・。 鈴:いいえ、いいえ。嬉しいです!すごく、ものすごく! デーボ:なんか・・肩の荷が下りたような・・・気が抜けたら眠くなってきやがった・・。 鈴:休んでください、デーボ様・・。 デーボ:まだ・・やらなくちゃならねぇコトがあったような・・・・。 何か引っかかる・・・ 気になりながらも、眠りに落ちる。 体が、溶け込む様に眠りに落ちていく。 ジョセフが起きてきて、その部屋と覗くと、 デーボに寄りかかって鈴も眠ってしまっていた。 苦笑いをしながら、奥の部屋へまた戻っていくジョセフ。 ジョセフ:若いってのはイイのぉ〜。 <集結編へ> |