ご近所ジョジョ物語
集結編・第5幕・「@」

                       

時間を見て、舞姫に入る。
店の中は、熱気覚めやらぬ状態。
そこココに、お客様のおば様方が腰掛けている。
バックで渋めのブルースが流れている。
常連がいたらしく、ラバーソールが何人かのおば様に囲まれて困っている。
やっとのことでそれを掻き分けて、ダービーに何か話しかける。
DIOはその様子を見ながら、ついでに店内の様子もうかがった。
暗い照明と、化粧をした男たち。
一目で男とわかるのや、フィリピン系の美しいオカマ、
ひときわ目を引くのが体の大きな、肉体労働者のようなオカマだった。

異様な集団の入場に、店の従業員がはたと動きを止める。



体の大きなオカマ:いらっしゃぁい・・・何か・・・?
  ラバーソール:こんばんわ〜
体の大きなオカマ:イヤン、こちら、好みよ〜
   ダービー兄:すいませんがッ!
体の大きなオカマ:?あら、ごめんなさい?パートナーがいらっしゃったのね?
   ホルホース:はははは、ばれてるぞ。  
  ラバーソール:もう否定しねぇよ・・・やれやれ・・
   ダービー兄:すいません、実は人探しを・・
 

かくかく、しかじか。
かいつまんで状況を説明する。
と、


体の大きなオカマ:そうなの?ロマンチックだわ!テレンスなら、今、控え室よ。
  ラバーソール:行っても?
体の大きなオカマ:着替えてるかもしれないから、ノックしてあげてね・・・・ちょっと、全員で行くの?
     DIO:俺達はココで待っている。
   ダービー兄:有り難う皆さん、貴方たちのおかげで・・
   ホルホース:礼は会ってからでしょう。どうぞ行ってみて来て下さい。
   

こくりと頷くダービー兄。
ラバーに目線を会わせ、すがるような目をする。


  ラバーソール:いいのか?俺行っても。
   

答える代わりに、スーツのすそを引っ張る。
パッとダービーの手を取ると、引きずる様に控え室へ連れていくラバーソール。


   ホルホース:男は強引な方がぐっと来るかもなぁ・・。
    ミドラー:なに言ってんのよ・・


控え室。
そう書いてある扉の前に立つ。
躊躇する前にラバーソールがその扉を叩く。


少しあって、中から返事が。


  ラバーソール:失礼します。テレンス・ダービーさんですか?
    テレンス:・・・・・・・どうぞお入りください・・。


ゆっくりと扉を開け、中を覗き込む。
ダニエルダービーを中へ押しやるラバーソール。
そこには、たったままの綺麗なオカマが居た。
昼間に見ても女と見間違うかもしれない。
実際、その女・・いや。オカマには見覚えがあった。
ラバーは何度か見かけていた。
ダービーもしかり、だろう。


    テレンス:とうとうばれてしまいましたか・・
   ダービー兄:テレンス・・丸で別人だわ・・。
    テレンス:すみません、兄さん。学校やめたなんて言いずらくて、でも会いたくて・・。
   ダービー兄:やめたの?知らなかったわ・・!
    テレンス:すみません、でも私は、こう言う人間になりたかったんです。
   ダービー兄:・・綺麗よ、すごく。会えて・・・会えて嬉しい・・すごく心配してたのよ・・


そう言ってその場でうずくまってしまうダービー兄。
ラバーソールが困っておろおろしている。


    テレンス:大丈夫、兄さん、ごめんなさい、心配かけて・・
         でもどういう顔して会ったらいいのか分からなかった。
  ラバーソール:堂々と、自分を見せるってのは難しいことだからな・・
         でもあんた、こんなに兄貴心配させて、
   ダービー兄:イイのよ、ラバー。あんたの気持ちはすごく嬉しいわ。ありがと・・。
    テレンス:いい人を見つけたんですね。兄さんは・・。
   ダービー兄:バカァ、そんなイイ人だなんて、合ってるわよぅ〜
    テレンス:兄さん、私は・・
   ダービー兄:どうしたの?
    テレンス:今度結婚します。
  ラバーソール:えええええええええ!
   ダービー兄:ああああああああああ!


照れながら言うテレンスに、ただただ驚愕の声を上げる二人。
やっとのことで息を飲みこんで、


   ダービー兄:って、それって・・・
    テレンス:素敵な男性です。だからせっかく合えたのに、もうすぐお別れなんです。
  ラバーソール:え?
   ダービー兄:ど、どうしてッ!?
    テレンス:私は、フランスに行くことになるんです、その・・・
         相手が・・そっちの方なので・・。
  ラバーソール:そんな、せっかく会えたってのに・・。
   ダービー兄:イイ人?
    テレンス:はい。
   ダービー兄:おめでとう。


そう言って抱き合う二人。
ラバーソールがそっと席をはずそうとして、ダービー兄に洋服のすそを掴まれる。


  ラバーソール:二人で、ゆっくり話せよ。俺は・・
   ダービー兄:フランス行きましょうね。
  ラバーソール:へ?!でもそれって、国籍とかもうつして、
         そう簡単に行けるのかな?俺フランス語とかできないし・・
   ダービー兄:やぁね、違うわよ、引越しじゃァ無くて、旅行よ。


そう言って笑う。
悲しいが、嬉しい。そんな顔をしてダービーが笑っていた。
テレンスもそんな顔をしていた。



すべての人間が、自分の生き方をもって生きていた。

なんとなく生きているやつなんていなかった。

それが、誇りであり、夢であり、人生だった。





<NEXT>