ご近所ジョジョ物語
集結編・第4幕・「A」

                       

ホストクラブ内。
ホルホースの報告に、ダニエルダービーの嬌声が上がる。


  ダービー兄:えええ!近くに居るの?!どこに居るの?教えて、会いたい!
  ホルホース:いや、それが・・・
 ラバーソール:勿体つけンなよ、どこだよ?
  ホルホース:・・・・おか
     一同:オカ?


全員で顔を見合わせる。
ホルホースが、困ったような顔をして笑っている。


ヴァニラアイス:オカに居るんですか?
  アレッシー:いや、店の名前じゃないですか?
  ホルホース:いや、ちがくて、オカ・・・・あ〜いいのかなぁ・・
  アレッシー:オカ???・・・・・・?オカー・・。
 ラバーソール:・・・・・・・・兄弟揃って?
  ホルホース:ア、理解しちゃった人発見
    DIO:なんだ、ラバー、教えろ。
 ラバーソール:オカマになってるってんだろ。
  ホルホース:ぴんぽん。
  ダービー兄:ふぎゃああああああそそそそそ、それって、なんかすごく複雑ゥ・・
 ラバーソール:ショック受けるか喜ぶかどっちかにしないと体持たないぞ・・。
  ホルホース:居所は・・


一同がごくりとつばを飲む。


  ホルホース:となりの「舞姫」


ラバーソールが灰皿を取り落とす。
DIOが時を止めそうになる。
ヴァニラアイスが犬を探して蹴り倒そうとする。
アレッシーがむやみに影を伸ばしてしまう。
ダービーのネクタイが緩んでほぐれる。
一瞬のうちにすべてが起きた。


  ホルホース:落ちつけって言っても、無理?
    DIO:隣って・・・この壁一枚向こう・・・
  ホルホース:そ。
   ミドラー:アタシ達だってビックリしたわよ!
  ダービー兄:じゃあ、今となりに・・?!
  ホルホース:そういうことで。
  ダービー兄:行く!今すぐ行く!舞姫ねッ!?
 ラバーソール:あ・・・ダービー・・・・・


立ちあがって、出口に突進しようとするダービーをホルホースが制する。


  ダービー兄:なんで止めるのよぉ〜
  ホルホース:今ショータイムだ。もう少しで終わるから・・・舞台の邪魔をするか?
  ダービー兄:・・・・・・・・
 

経営者として、基本は分かっているのだろう、大人しくソファに腰掛けるダービー。
嬉しそうなダービーとは裏腹に、にこりともしないラバーに気付いたDIO。


    DIO:どうした? 
 ラバーソール:ん?いやべつに・・。


問いかけると、反対側を向いてしまう。
だが、そちらにはヴァニラアイスが居た。


 ラバーソール:わっ
ヴァニラアイス:嫉妬ですか?
 ラバーソール:え・・?な、なにを・・・。
ヴァニラアイス:なんとなくそう見えたんです。
 ラバーソール:そんなんじゃ・・・
    DIO:お前が笑わないと変な感じだ。
 ラバーソール:・・・ア・・・ごめん・・・今ちょっと笑えないんだ・・どうしてだろう・・


その様子に気付いて声をかけるホルホース。


  ホルホース:お互い認証済みなのか?
 ラバーソール:え?
  ホルホース:一方通行なのか?
 ラバーソール:え?なにが?べべべべべ、べつに!なにをって・・・・
    DIO:面白いやつだ


そう言って笑う。
ラバーソールがその顔を見て少し笑った。


 ラバーソール:お前、いいモン見っけたんだな、おめでとう。
    DIO:見つけたんじゃない、あったんだ、そこにな。
 ラバーソール:・・・そう・・か、よかったな。
    DIO:お前、俺に素直なヤツだと言ったな。
 ラバーソール:・・ああ。覚えてる。
    DIO:お前も馬鹿正直なヤツだな。なぁ、ダービー。


その様子を見ていたダービー。
ふと気付いたように眉をひそめた。
ラバ―の名を呼ぶ。
振り向こうとしないラバーソール。


  ダービー兄:ラバー・・喜んでくれないの?
 ラバーソール:・・・・・・ごめんな・・・
  ダービー兄:心配してるの?
 ラバーソール:そんなんじゃねぇよ・・
  ダービー兄:大丈夫よ、あたしあんたを愛してるから。


ミドラーが変な声をあげる。
横から頭を小突くホルホース。


   ミドラー:後で分かるって・・・もしかして、そういうことなの?
  アレッシー:ななな、なんですかぁ〜俺にはさっぱり・・!
  ホルホース:察しが悪いなぁ
ヴァニラアイス:何がですか?!
    DIO:お前も気がつかないで言ってたのか、嫉妬だとか・・。
  ホルホース:見てすぐ分かったぜ?雰囲気違うじゃん。
  

なぁ、とダービーに笑いかける。
にこにこしているダービー。
むっつりしているラバーソール。


 ラバーソール:べ、別に珍しくないだろ?今の世の中、悪いかよ!
  ダービー兄:一緒にあってよ、弟に、ね、ラバー?
 ラバーソール:馬鹿やろォ・・・・・俺ちょっとタバコ買って来るッ!


そう言ってつかつかと出ていってしまうラバーソール。
ダービーがくすくすと笑っている。


    DIO:俺もまさかとは思ったが、今じゃ罰せられることもないからな。
  アレッシー:罰せられる?今では罰せられない・・ああ、え!そうだったんですか?!
   ミドラー:いつから付き合ってるんですか?
  ダービー兄:弟と連絡が取れなくなってたころよ。
  ホルホース:弟代わり?
  ダービー兄:っていうより、支えてもらったんだけどね。
        飲み屋で酔いつぶれてたアタシに、突然馬鹿って言ったのよ?ひどいと思わない?
ヴァニラアイス:きついですねー
  ダービー兄:さんざんけなされて。で、最後に一言、頑張れって。
ヴァニラアイス:それはノックダウンですね―!!!
  ダービー兄:そうなのよ・・それからアタシの方が追っかけて。
 ラバーソール:いつのまにか情熱に解きほぐされ、
        いけない悪への道に染められたラバーソール。
        さて次号やいかに・・・・・・ってな具合だよな!


いつのまにか後ろでげらげら笑っているラバーソール。

 
    DIO:タバコはいいのか?
 ラバーソール:何言われてるか、気が気じゃねぇよ!
       煙草なんか買いに行っててる間に変なこと言われてたりして、
       帰って来たら冷たい目ってのは嫌だからナ〜。
  ダービー兄:あらあら、言って困るようなコトしたっけ。
 ラバーソール:!ななな、何言ってやがる、馬鹿!
  ダービー兄:また言った。
 ラバーソール:え?
  ダービー兄:その言葉からはじまったのよ、覚えてない?
 ラバーソール:ややややっやあっぱ、俺タバコ買って来る!
  ダービー兄:もう!すぐ逃げるゥ〜!


ダービーの肩の力が抜けたのを見て、ほっとしたホルホース。
気が気じゃないのは俺一人かあ、そう一人ごちる。
毎日すれ違っているかもしれない弟の姿、
それでも気付かないほど外見が変っちまってる・・・
考えるにそう言うことになるだろう・・。
会ったら、、相当ショック受けることになりそうだぜ、こりゃ・・。
察するに、向こうはここにダービーがいるのを知っていて、
隣に勤めているんだろうしな。
溜息をついてタバコを咥えると、ダービーが火を差し出し、笑った。


  ダービー兄:覚悟は出来てるわ、気にしないで。
  ホルホース:あんた、読心術でもやってるのかい?
  ダービー兄:貴方はどうしたつもりか知らないけど、全部言ってるわよさっきから。
        一人でモノローグ風に。
  ホルホース:・・・・こりゃ・・失礼・・・


<NEXT>