一週間ほどこっちに滞在出来るぞ
っと、
そう言った意味合いの言葉を俺に満面の笑みで投げ掛けてる男が一人。
その言葉を聞いてビミョーな面持ちの男が一人。
俺。

「おやおや山崎、不満そうだな?」
「…自分の身体が愛しくてな」
「それじゃあマスターベーションでもするとイイ」
「っぁのなー!そーゆー意味じゃねぇ!」
「まあまあ。面白い奴だ」

面白いのはどっちだよ…
このあー言えば、こー−−−−言う男の名前はセイバートゥース。
日本滞在がそんなに嬉しいのか、見たことねぇような笑顔で。
いつも通りに俺の部屋のベッドに股おっぴらいて座ってる。
で、そのあとの言葉で俺は拍子抜けした。
まあ、気が抜けたというか。

「日本を案内しろ」

はぁ?そりゃなんだよ、観光ってことか?
…こいつを東京タワーに案内したり、ハトバスに乗せたりとか??

「なんと言うんだったか?あるだろう、キョウト、とかよ、ホッカイドーとか」
「京都と北海道と両方行ったら一週間なんてすぐに終わっちめーよ」
「…だから、その辺を山崎、お前に巧く頼みたいんだ」

そうは言っても。

アメリカ人って言ったらみんなニューヨーク行った事があって
オハイオって言ったらジャガイモでワシントンはどんなところだとか熟知してんのか

と同じで

日本人って言ったら
東京は行った事があって北海道はジャガイモで京都がどんなところだとか熟知してる

って思われてるってことだよな。


あれこれ考えた挙句。
まぁ、俺の知ってる場所を案内した方が楽だろうなァ、と。
ちょうどもう雪のシーズンだろうしな。
ちょうどイイかも知れねェ。

「…金は払うんだろうな?」
「ああ」
「そりゃいーや、VIP旅行ってか」

そんなこんなで。

なんだかわからねぇ珍道中が始まっちまったって訳よ。