■餓狼伝説、KOFのストーリーとは全く関連ありません。設定も違うです。

winter snow

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■写真
その暗がりに照らし出されたその男。

    山崎:「……久しぶりだな…っと…どの名前で呼んだらイイ?」
   ???:「クリードで頼むぜ、今回は個人で来てるからな」
 
そう、クリードと言う男。
本当はもっといくつかの名前もってるやばいヤツ。
ニューヨークでなんたらとか言う、あの俺の過去に一番関わってた野郎がコイツ。
その時はコードネームみたいな言いにくい名前で呼ばされてたっけなぁ。
あまり呼びずらかったんで、俺は「オイ」とか「オマエ」とか
名前のついてない猫を呼ぶのと同じ感じで呼んでた。
だから、実の所言うと、その時の名前はよくおぼえてない。
…たしか、プ…プリー…あ?舌噛みそうだ、やめとこ。
本名は恐らくビクター・クリード。
仕事上ではセイバートゥースだのさっきのプリーなんとかだの、色々。


    山崎:「バイス、テメェも意地がワリイな、さっさと紹介すりゃ良いものをよぉ」
   バイス:「オマエの驚く顔ってのが一度見てみたくてな」
    山崎:「俺はいつもそんなに表情ねぇか?」
   バイス:「さぁな、笑い顔と怒り顔だけは良く見るよ」
  クリード:「本人はいろんな顔してるつもりなんじゃねぇのか?」

…その通り。
んじゃ、俺はどんな表情してても笑ってるか怒ってるかどっちかにしか見えねぇってことかよ。
…あー、そうかも…って、自分で納得してどうする。
そう言っているセイバー、いや、なんだ、クリードだって
いつも怒ってるようにしか見えねぇ性質なんだけどな。
笑ってたってどっかこう、威嚇してるような顔でよ。
コエーのなんの。

    
    山崎:「んで、なんだ?俺に会いたいってことは、なんかあったな?」
  クリード:「おう、あの仕事での仲間覚えてるか。俺と、オマエと、あと4人はいたんだが」
    山崎:「……」


実のトコロ、やたらと目立ったこのクリードくらいしか明確に覚えてねェ。
あとは、えーと、メガネかけてたヤツがいたかな、とか、
…神経質そうなヤツがいたかな、とか。
あ、メガネかけてたヤツと神経質そうなヤツは同じかも…

  クリード:「その様子だと覚えてねェな?」
    山崎:「ねぇ」
  クリード:「はっきり言うな」
    山崎:「メガネと…あと、ああ、日系と、神経質と、あと、オヤジ」
  クリード:「オヤジ?」
    山崎:「オマエ」


ゴン。
今のは、俺の後頭部に炸裂した音な。


  クリード:「阿呆かテメェは。メガネと神経質と日系は同一人物だ」


…今のツッコミはそっちだったのか。


    山崎:「で、なによ」
  クリード:「死んだ。いや、殺された、だな。」
    山崎:「なに?!」


バイスが、俺達のほうをちらりと見て…
クリードに軽く会釈をする。

  
   バイス:「煙草を買いに行って来る」
  クリード:「ああ」
    

様子に気づいたのだろう。
まぁ、殺されただなんて言葉、そうそう簡単に真実として目の当たりにすることは出来ない。
バイスが出ていった扉の音が聞こえ、
店内には俺達二人だけ。
クリードが、おもむろにスーツのポケットに手を突っ込んだ。
つい、身構えるが、クリードは苦笑いしながら幾枚かの紙切れのようなものを取り出しただけだった。
目の前に差し出されたそれを覗きこむ…

    山崎:「!」


その紙切れは写真で。
その写真には男が写っており。
全部で3枚ある写真に写っている男は全て別人。
そして、どこかで見た顔。
そして。
そして、全員、血にまみれて床に転がっていた。


    山崎:「…こいつ等は…」
  クリード:「思い出したか?俺達以外の4人のうち、3人が殺されてる」
    山崎:「あの時のメンバー狙った殺人ってことか?」
  クリード:「その可能性がある、と言うことだがな。幸いなのか俺達はまだ生きている」
    山崎:「あと。日系な」
  クリード:「そうだ、メガネが生きている。」


ちょっと妙な会話ではあるが、本人達は大真面目。
写真の1枚をフイ、と取り上げて。
裏側をめくってみる。

  
  クリード:「気にするな」
    山崎:「このプリントの系式、普通の写真じゃねェよな?」
  クリード:「自分で暗室使って焼いた…」
    山崎:「信用するとでも?」
  クリード:「…警察内部から持ち出したものだ。ちょっと使える若造がいてな」
    山崎:「ふん、そんなことだろうと思ったぜ。で、どうすんだよ。」
  クリード:「メガネを探すしかないだろう」
    山崎:「名前覚えてるか?」
  クリード:「苗字だけなら…御堂、とか言った」


ふーん、とそれだけ言って。
もう一度、写真を1枚1枚見なおす。


    山崎:「死因は?」
  クリード:「出血多量、もしくは大量出血によるショック死、だとよ」  
    山崎:「うげー、痛ぇ…頚動脈に一発、か、かなり慣れた仕事ぶりじゃねぇか。」
  クリード:「仕様された銃は判明していない…おそらく経歴のない銃なんだろうな」
   

そう言えば、ユキのもっていた銃、珍しいカタチしてたな。
殺し屋だっけな。
…まさかな。
女に出来る仕事じゃねェ。
考え事をしている俺の目の前…天井見てたから、顔に落ちてきたかと思った…に、写真がもう1枚差し出される。
受けとって。


  クリード:「それが御堂。」
    山崎:「こいつなら覚えてる、何言ってもちいせぇ声でしか喋らねぇの」
  クリード:「そいつを探すのを手伝って欲しい、
        自分の身の問題だ、手伝わない筈が無いよな?」
    山崎:「ったりめーだろ」
  

そうして。
勿体つけてもう1枚の写真。

   
そこには、歩道橋の背景に写る繁華街らしきネオンの渦と。
数人の遊び人。
普通動物は聞かざるのはオスだと決まっているが…
人間はメスが着飾る習性がある。
オスが求愛するのが当然の生態系で、あえてメスが求愛、誘惑を計るのが人間。

その妙な輩が、そう、メスどもが着飾って写っている。


    山崎:「……」
  クリード:「どうした?」
    山崎:「コレは、なんの写真だ」
  クリード:「御堂の娘、そこから御堂の足取りが追えるかと思ってな」
    山崎:「娘ってのは、コレか?」
  クリード:「…そう、その真ん中の…」
    山崎:「本気か?!冗談じゃねぇだろうな?!マジかよ、ウソだったら殺すぞ!」


俺の剣幕に、クリードが身体を引いた。
そして、うなずく。

真ん中に写っていたのは、さっきまで、
さっきまで、俺を茶化して笑っていた、
ユキの姿だった。



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