安藤が会社から返って来る前に、なんとか俺は屋敷についた。
また昨日みたいに遅刻して折檻をこうむるのはご免だからな…

…身体がいくつあっても足りない。

「遅かったのね小次郎」
「!?え?」
「安藤はもう帰ってきているわよ」
「…って、ウソ?」
「本当よ。いま、ガレージにいるわ」
「…おいおい、早く帰るなら連絡くらい事務所のほうに…」
「したって居ないでしょ」
「……」
「安藤に会って来たら??」
「…そうしよう」

…全く、亜美も意地が悪い。
安藤が居るのは、ガレージと言っていたな…
ジョーンズがフェラーリを盗んだために、
ガレージ内に残っているのはアルファロメオ一台の筈だ。
安藤は、車でもいじっているのだろうか。
厨房を抜けて庭先に出ると、風が少々冷たかった。
ガレージに明かりが灯っている。

「安藤?」
「…天城君か」
「あまり出歩かれるとガードし難いんだが…」
「なら君が私についていればいい」
「…まぁそうだが…なるべく屋敷の中に居てもらいたい」
「…そう急くな。たまには眺めたくなるのがコレクションと言う物だ」
「それは賛成するが…」
「天城君」
「なんだ?」
「今日も私より遅くについたな。」
「…それはあんたが早く帰ると言わなかったからだろう」
「そうかね?」

安藤が車から目を上げて、俺を見た。
食えないジジイだ…
まるで俺の落ち度みたいじゃないか。

「昨日あんなに叩き込んでやったのに、解らなかったのかね?」
「…充分わかったさ…」
「足りなそうだね」
「…アンタ、したいだけなんじゃないか?」
「さぁ?どうかな…」
「……コレもボディーガードの一貫なのか?」
「そうではない。だがその分の上乗せは惜しまんよ」

金なんかはどうでもイイ。
とにかく俺は、うろうろするのを控えてほしかった。
書斎に一人でこもる事も、あまり嬉しくはない。
ガードは、周囲と本人を見てはじめてある程度の効力をなす物なのだから。
まぁ、俺に身体の関係を強要するのは、
ある意味近くに居られると言うことにもなるのだが…

「天城君」
「…脱げばイイのか」
「…わかってきたようだね」
「多少な…」

安藤が俺を見ている。
その前で、一つ一つボタンをはずした。

上着を脱いで、工具箱の上に投げ出す。
シャツをはだけて肩から落とそうとすると、止められた。

「シャツはそのままで下を脱ぐんだ」
「…昨日もそうだったな」
「好みの問題だ」
「…ネクタイは?」
「こっちに貸せ」
「…」

ネクタイを渡すと、安藤が俺の間近に寄って来た。

「目を閉じろ」
「…ガードが出来ないぜ」
「物音くらい聞けるだろう」

安藤は言い始めたら聞かないだろう…
仕方なく、目を閉じると、ネクタイで目隠しをされた。

「…安藤?」
「コレでイイ」
「拘束するのは止めて置けよ」
「何故だ?」
「ガードにならないって言ってるじゃないか」
「そうだな」

…わかって言ってるのか?
目隠しのまま、下の衣服をはずす。
安藤の視線は、目隠しをしたままでも、痛いくらい感じられた。

「後ろを向いて壁に手をつくんだ」
「……」

手探りで、壁の位置を確認して、ソコに手をかける。
真後ろに感じる安藤の息遣い…
シャツが軽く引っ張られて、背中半分ほどが露出する。

「…おい…」
「見えないのが怖いかね」

怖くないと言えば、ウソになる…

肩口に息を感じて。
首筋から背中にかけて、生暖かい安藤の舌が滑る。

「…ん…っ」
腰から這わされた手が、俺の前にかけられて軽く握られた。
そのまま、指先で転がされる様に弄られる。

「…っは、…っ」
「反応がイイな」

…昼間、双子達に中途ハンパに弄られて
収まりがつききらなかったせいだとは…
口が裂けても言えない。

「そう言えば昨日君をイかせては、やらなかったな。溜まっているだろう?」
「…っ…ベ、別に…」
「私の手の中でイイ反応を見せているが、コレはその証拠ではないのかね?」
「そ、それは、アンタが、触るから…っ」
「……天城君、素直にならないと損をするぞ」

握ったままの手が、ズルリと滑らされて。
恐らく人差し指…が、先の割れ目を押し上げる様に撫でた。

「…っふ、あっ…!」
「濡れているぞ」

安藤の指先の滑る感触で、自分のモノがどう言う状態になっているのかがわかる。
ぬるりと滑ったのは、俺のソコが我慢し切れなくなっているから…
先を滑った指が、濡れた感触のまま、俺自身の形をなぞる様に…

「…う…っあ、あんど…お…っ」

ソコを握った手のひらと指が、軽い圧力を与えながら、上下に動かされる。
安藤の手の平の肉の感触が、俺のその部分に密着して、扱き上げる。
壁についた手が、震える…
膝がガクガクして、立ってなんか…

「どうした天城君?」
「っは、や…っ…やめ…」
「もっと速くしてやろうか?」

そう言うが早いか、安藤の手の平の摩擦が激しくなった。
濡れた音が、視覚をさえぎって強くなった俺の聴覚に、卑猥な音を響かせる。
こ、コレは、俺自身の音?
い、いやだ、こんなイヤラシイ…

「っく、あっ、やぅ…っ!!だ、駄目だっ…そ、んな…ぁ」

安藤は片手で俺自身を嬲りながら、
もう片方の手の指先で、俺の胸の突起を弾いた。
摘み上げて、指先でなぞる…
身体が思う様にコントロール出来ない…
弾かれるたびに、身体がビクンとのけぞる。

「…ん、んっ…ひゃ、うっ!」
「…そろそろ私の楽しませてもらうとしよう」
「…は、はぁ…っ、は…っ…あ…」

安藤の言葉と共に、俺の身体が一旦解放された。
前を握っていた濡れた手の平が、滑る様に後ろに移動する。

「ココの感触、楽しませてもらうよ、天城君」
「…っ…」

はだけた背中に、俺の髪がゆっくりと流れ落ちて、その感触にさえ身悶える。
内腿に這わされた指に、見えない恐怖心と予想のつきかねる一瞬に身体が強張る。
安藤の指が、俺の後ろにたどりついて…
ゆっくりとソコに押入ってくる…

「…っく…ん…っ」
「…天城君」
「…な、ん…」
「昨日から今日にかけて私以外にも抱かれているね?」
「……っ…え?」

後ろに入った指はそのまま…
安藤は俺の肩口に顔を寄せた。

「誰だね?仕事仲間かな…?女…かもしれんね」
「…な、何を根拠に…」
「君のココ」

指が素早い動きで深くピストンされる。

「ぅ、あっ!!!」
「ココから香水の匂いがするよ。かなり強くね」
「う、ウソだろ…?そんな、あ、あああっ!」

美樹と、美佳、だ…
あいつら、そんな小細工を…してたのか…
安藤は軽い嫉妬なのか、独占欲のツモリなのか、
俺のそれが罪であるかのように、指で激しく俺を攻めたてる。

「や、やッ…あ、うっ…!!」
「中に塗りつけられている様だね…?お仕置きが必要か?」
「お、仕置き、って…、お、俺は何も…!」

カタン。
工具箱の音がして。
な、何をする気だ?
工具箱と言ったら、
レンチ?
いや、そんなもので何が…
針金、ペンチ…
そ、そんなもの使われたくない!

「や、やめてくれ…!」
「痛いコトはしないさ。」
「じゃ、じゃあ何を…」

タプン、と何か液体の揺れる音。

「なん…」

トプン。
安藤の指が俺から離れる。
抜かれる瞬間の刺激に、思わず溜め息が漏れた。

「…は…っあ…」

ヌルリ。

「ひぃ…ッ!!!あ!??!」
「安心したまえ、単なる油だ」

安藤の手の平に塗されたのであろうその油の感触が、俺の前を掴む。
そのまま、責め立てるかのように、俺自身を激しく、摩擦し始める。

「い、やッ……あ、あッ、ん、うあ、ああッ!!」
「イイかね?こっちにもくれてやろう」

その声と共に。
俺の後ろに安藤の油にまみれたものが勢いよく突き入れられた。

「ひゃぁううっ!!!」

膝の力が抜けて…
壁に頭を押しつけて倒れそうになる身体を支える。

「どうしたね?何かあったかね天城君?」

安藤の含み笑いを伴う声。
も、もう、駄目だ。
もう、コレ以上されたら…!

「ゆ、許し…」
「駄目だ」
「あ、ああうっ!」

強く激しくなる安藤に動きに、身体がくずおれた。
もう、立ってなんか、居られない。
前を擦る指と、後ろに出入りする激しく太い感触に、
俺はただただ頭を振り乱すだけ…。

安藤の片手が、俺の片方の手首を掴む。
ぐい、と引っ張られて、後ろ手に身体を起こされ、そのまま激しく突き入れられる。
あ、熱い、前も、後ろも…

「あ、ふぅ、やぁ…ッ!!も、もぉ駄目…駄、目だ…ッ」
「だらしがないな天城君…まあイイ、私の目の前でイって見せなさい」
「そ、そんな、っ、あ、ふぅ…っ!」
「おお、凄い音だ。いやらしいな君は…」
「い、いやだ…違う、ちが…っ、いや、やぁああああっ!!」

もう、なにも考えられ無くなって。
身体中にひどく熱いものが駆け巡った…

安藤の手の中で、俺自身が熱く脈打って、欲望を吐き出す。
射している間も、安藤の手はソコを休みなく攻めつづけた。
おかしく、なる…駄目だ、駄目…なにも、見えなく…暗闇さえ…

身体の中に熱いものを感じて…
俺は、全てから解き放たれた。




「…くん」
「……」
「天城君」
「…あ」

目を開くと、安藤が覗きこんでいた。
場所はまだガレージの中。
寒気を感じて、身体を抱く。

「また、俺…気絶…」
「その様だね」
「あ、アンタのは激しすぎるんだ。歳を考えろ!」
「…君が歳の割りに弱いんじゃないのか?」
「……」
「もう大丈夫かね」
「…ああ」
「それじゃ御褒美だ」
「…?」

グイ、と裸のままの俺の足が開かれる。

「う、うわあ!何を…っく」

俺の後ろに、何か硬いものが…

「や、う…ぅっ何、を…」
「サイドブレーキのパーツだ。握りのトコロが指にフィットする様に波打った形状をしている。」
「…あ、あッ…う、うごかさな…ひ、ぃっ」

「ちょっと鍛えなおしてあげよう、天城君。」



ガレージには、工具やらパーツやらがいろいろ散乱している…
様子を見に来た亜美が、安藤の責めに乱れる俺を見て笑うのは…
それから少ししてからのことだった。


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