無題
足元の鈴の音。
今夜は寒いよね。
呼びかけて見上げる、小さな夜空。
白い月が見つめてる。
「お月様が怖いの」
子供が呟く。
「夜空を見上げると、
お月様がいるの。
まるで私が一人みたい。
ここにいていいのかなって。
自分はここにいてもいいのかなって。
そんな気になるの。
お月様を見てると。」
その人は答える。
「あまり嫌うなよ。
月は寂しいんだ。
どんなに焦がれても、
見つめることしかできないんだから。」
足元の鈴の音。
今夜は寒いよね。
君も、寒いのかな・・・。
白い息が月に溶ける。
見つめることしか出来ない月と、
見つめることを忘れた子供。
答えは、すぐ側にあったのに!
足元の鈴の音。
今夜も寒いよね。
「もう、大丈夫。」 |