捧げる

あたしの真実が見つからないの。
君がそう言って泣いた。
月を見てさえも僕を見てさえも泣いた。
僕がいくら言ったってなんの効果もない
そうやっていつも君は月を僕を否定する。

 
僕はその否定の中で一生懸命存在する。
僕が愛したあの人が死んだのを
意味がないことにしたくない
 
真実を探してるの。
アタシはココにいていいの?
何度もそう言う君は僕の目の前にいて
僕は確かに君を見ているのに
そう言う君は自分の存在に自身がないと言う
君の目には僕は薄れた存在と言うわけだね。
存在しないものはなにものをも見られるわけがないじゃない
僕がこんなにココにいるじゃない
君がこんなにココにいるじゃない。
あんなに月は一生懸命光ってるじゃない!
身を削って命をすり減らして
ただただ漠然と意味もなくソコに存在しているじゃない!
 
それの意味をなくしたのは君だよ
 
僕は君の意味を知っている
 
だけど君は淋しそうに言うね
「真実が見つからないの」
 
その言葉で傷つくのは君じゃなくて

あんなに輝く月
僕らを包む月。
こんなにそばにいる僕。
言えばいい何度も。
君が欲しいのは真実じゃないだろう?
 
君が欲しいのは真実じゃないじゃない
 
うそつき
 
君が欲しいのは
 
誰かの許しを乞うコトだね
ココにいていいよって言われたいんだね
自分でそれを決めないんだね
僕がそれを許せばいいんだね
自分は弱いんだね?
強くなりたいってみんなと同じようにそう言って
そう言って
 
そこにいるじゃない
そこにいるじゃない。
そこにいるじゃない!何度言わせるのさ!ソコにいるじゃない!
それはウソなの?ウソじゃないじゃない!
うそなら僕はいないじゃない!僕を殺さないで
まだ死にたくない、まだ死にたくないよ、殺さないで。
 
あの人は死んだけど生きてるから
僕がそう決めて、あの人を包むから
君は確かにそう決めて、僕を包んでくれたいらしいじゃない?
 
んじゃ包んでよ。
 
ココで君のためにこんなに苦悩したがる僕を
真実だと、君が言ってよ。
 
 
殺さないでよ