昔々の歌うたいの歌

昔々ある所で
僕の地雷が爆発しました。僕の作った特製の地雷が爆発しました。
傷つきました。
怪我をしました。悲しいですね、踏んだのは僕でした。
昔々ある所に
僕の大切な人がいました。
僕の地雷と共にたくさんの地雷を踏んで
貴方は果てました。
僕を守る為に、貴方は果てました。
貴方に笑いかけられなかった僕は一人残されて
また新しい地雷を作るんですね。

さあ踏もうじゃないか、この地雷を
僕の作った特製の地雷
踏みたいあんたも退いた方がイイ
これはいたって安全な僕の地雷だから
踏みたくて仕方がないなら踏んでくれってなもんだ
ただし怪我するのはあんたじゃなくてこの僕さ

昔々。僕が見せた笑顔は廃れました。
僕の作ったものはみんな廃れました。
それを養分にして新しいマンドラゴラが栄え
そしてそれを抜くのは僕の役目でした。
その悲鳴を聞いて笑えるだけの鼓膜をもって
僕はまたマンドラゴラを引きぬいたのです
笑えるだけの鼓膜をもって
その鼓膜が破れることに気がつかずに
ある日僕はもう駄目だと悟りました。

さあ引きぬいてくれ僕のマンドラゴラを
僕の悲鳴を聞いてくれ
ただしアンタには絶対に聞こえない
僕は絶対に悲鳴なんか出さないから
引きぬかれた僕はいつでも笑っているから
一度だけ悲鳴を出したあの時に感じた
あんな悲しい気持ちにはなりたくないから
だから悲鳴は僕が聞くから
貴方は僕の笑顔を見て僕の地雷を踏んで
もっと僕を傷つけて、僕が笑うのを見て。

貴方の地雷を僕は大事に処理して
貴方のマンドラゴラの悲鳴で鼓膜を破りたい
そうしても貴方を抱きしめるように
それで君が笑えるように。

昔々。昔の愛の歌。
今も歌われる愛の歌。
ただの人間が自分をそれ以下だと勘違いして
勝手に作った昔の歌。ただの人間が。
ただのそれ以下の僕が作った昔の歌。