自分より濡れている奴などいない。
全ては私に降り注ぐのだから、そう、なんでも。
美しいもの醜いもの、全てが私を塗りつぶす。

…私の傘は、どこかに、在るのだろうか。
それは探してもいいものなのだろうか。

全てが私に降り注ぐ

全て、私は吸収して、いく。

真っ白な私を穢すがいい。さぁ、全て私に託せ。

どんなに穢されても私は真っ白なままだから。

私はどす黒く流れる泥がはみ出さないように、身体を絹で覆った。

綺麗なものしか見えないおまえたちに、拍手を送ろう。


いつか私が溢れ出す其の時を恐れるな。
…もう、遅い。


傘は無い