外れてる受話器がミソ(笑)
アホな私はSSなど付けてみました。


午後の日差しが差し込む部屋。
広く、落ち着いた様相のその部屋。
その主が鎮座するはずのデスクの上には書類が散らばり、それを鷲づかみにする指先が震える。



指先を、自分の眼で、確認する。
こんなに、力入れなくてもいいのに。



今日は、やけに身体がうずいた。だから、誰ともなく相手を求めた。
荷物を届けに来た、見せ掛けだけのボディーガード。
目の前にそいつが来た。だから、それでも、いいや、その程度の気持ちだったのに。
「私を抱いてみないかい?」
「…え?」
「いいじゃぁないか、たまには気晴らしも欲しいだろうキミも?」
「…」

目だけで、答えは返ってきた。
デスクの上に腰を乗せて手招きしてやると、まるでむさぼりつくように。
「…あ、っ、ちょ、ちょっと、手荒だな!」
「…申し訳ありません、社長」
男の目は無表情で。
…そのとき初めて、もうちょっと相手を選んだほうが良かったかな、なんて思った。



「…っ、ん、」
頭が、デスクの上の電話に当たって少し痛い。
「…よろしいのですか、私のような下賎の者と」
「…一度きりなら深い関係でないものの方が燃えるだろぅ?」
「そうですか」
開いた脚の、腿の内側にキスをされて。
ゾク、と駆け上がるものに一瞬目を閉じた。

しゅる

「?」

脚に、何か…

「失礼します」
「…な」

腿の内側に走る物体を確認して、思わず私は身を起こして、
…縄、なんか、どこから?
「一体何のつもりだい、そこまでは許してないけど?」
「…一度限りならその一度を謳歌するのもまた良いかと…」
男の無骨な指が、その手に握った縄の先端を強く引き上げた。
「っ、ーーーっ!」
腿に走る鋭い痛みと共に、中心部にたぎるような熱い感触。
男の其れは、私の身体を突き破って侵入する。
「あ、あっ、」
「良いお姿ですよ…社長」
…駄目だ、この男。
頭ン中、私の痴態でいっぱいだね。
諦め半分、面白さ半分で、自分の高く掲げられた脚を見る。
犬、じゃ、ないんだから。
もう片方の手は、縄を引く手とは逆に、やけに優しい指使いで、
私の屹立したものをゆっくりと撫でさすって。
「いかがでしょうか…」
「…わるく、ない」
実際、中をえぐる動きはただやけっぱちな動きとは違って、
私の中の弱い部分を探るようで、時にビリビリと、時にもどかしく…
強弱の波の中、強く襲う波に、口元に手を当てた。
これ以上声を聞かせるつもりは、無い、から

トゥルルルルル

「!」
「ほら社長?御在室なのは皆知っておりますからね、出ないと怪しまれますよ?」

…こんな時に、一体
「社長?ほら」
「んぅっ!」
濡れた音が大きく耳にこだまして。
緩やかに引いていくアレの感触が、次に来る大きな突きを予測させて。
「社長?」
「うう、ああっ!」
言葉と共にずりあげられる身体。
濁流の中、苦し紛れに受話器を掴んだ。

カチャリ。

「…、ハロー…」
『ああ、やっとつかまりましたなダラー。申し訳ありませんお忙しい所に』
「あ、いや、いいんだ、…っ」

耳元で、声が聞こえる。
仕事、仲間の、初老の男。
その低い声さえも、耳を蕩かしそうで…

『今日は折り入ってお願いがありまして…』

ふっと横目に映る、男の笑う顔。

…ちょ、っと、待ッ…。

「っんあっ!!」
『ダラー?』
「あ、や、な、なん、でも、っ、…っく」
『お加減でも?』
「っ…い、いえ……、っ、」

こ、この男…
私の仕事の邪魔を、するなら…

身体を捻って、その頭を一目で狂わせてやろうか、
目が、合う。
男はにっこりと笑って、動きを止めた。
「お仕事、なさってください?」
「…ふざけるのも、いい加減…」
「スミマセン、ふざけている訳ではないのです」
「!」
強い力で腰をつかまれて。
そのまま、彼の熱い肌が直撃するのを体中で感じた。
「…あああっ!!!」
『…ダラー?』
「う、う、っ、ん、ミスター、ッ…で、電話、もう少しぃ、」
『…ふふふ、救急車でもお呼びしましょうか?』

知らずに指が書類を掴んで、わやくちゃにしてて、
突き上げられて悲鳴を上げる内壁が、快楽と言う渦に私を引きずり込む。
抜けられない、渦に。
男の指は止む事無く上下し続けて、やけに鮮明にいやらしい音を耳に届ける。

『ダラー?熱いですか?』
「あ、…っ、…え…?」

ああ、気づかれてる
面倒、だなぁ

元はと言えば、自分か…


「社長、中と外と、どちらがお好みですか?」
『おやおや、此方まで聞こえますよダラー?』


私は、目の前の男と、電話口の男の声二つに責められて。
女みたいに嬌声を上げて、身体を十分すぎるほど満たした。


天井が、近づいたり遠ざかったりしてる。
まだ、中のほうがジンジンしてて、腿の内側、液体の流れ落ちて行く感触。
気持ち悪い。
身体を起こして、ぎしぎし言ってる背骨を伸ばして大きく伸びをした。

「あーあ。…電話の男は、どうやって消そうかな…」


デスクの向こう側に、舌を噛んで窒息死した男が、情けない格好で日差しを浴びていた。